××下宿屋木村  Over・・・・××

 

昨日の夜はコンサートだったなり。一日早いおめでとうを言って、そしてそのままそこに泊まって、メンバー全員でお祝いをしたなり。

そして今日。

本番の今日は東京へ戻ってきて、そして明日のスマスマ生放送まで、珍しく赤組さんも青組さんも仕事は入っていなかったなり。なりから、

「なぁ、一緒に帰らねぇ?」

空港からの道を赤組さんは青組さんを誘っていたなり。

「ん?」

青組さんを助手席に乗せて、赤組さんの車は走り出したなり。夏らしさを見せて、本日も天気は快晴。珍しく、といっていい程湿度は低めで、だからちょっとだけエアコンを止めて窓を開けてみた二人だったなり。思った通りに、窓から吹き込んでくる風は、とても気持ちよかったなり。

カーステから流れてくる音楽に耳を傾けていた青組さんは赤組さんに訊いたなり。

「なぁ、お前何処行こうとしてるの?」

「あ、気が付いた?」

「気が付いた?って、・・・・なぁ?」

青組さんは苦笑したなり。まったく知らない道ならともかく、これだけ何度も通った道、いつもと違うコースを辿れば気付かない方がおかしいくらいだったなり。

「だってさ、今日はもう予定入ってないでしょ?せっかくだし、ちょっとドライブしよ?」

「・・・・せっかく?」

「そ、“せっかく”誕生日じゃない?」

言って赤組さんは朝起きてから何度目かの「おめでとう」を口にし、

「どこにでも連れてったげる。行きたい場所とかない?」

優しく笑って見せたなり。

「行きたい場所?」

青組さんはちょっと考えるそぶりを見せてから、

「任せるわ、どーせお前のことだから、いろいろ考えてんだろ?」

そういって笑って見せたなり。

「んじゃ、任せてね?」

 

「よかったぁ」

ふと、思わずこぼしたみたいな赤組さんの言葉に青組さんは

「何が?」

尋ねていたなり。

「ん・・・・」

少しだけ言葉を濁したあとで、悪戯っぽく笑いながら

「もしかしたら、余計なことすんなー!!疲れてるんだから、さっさと家に帰らせろー!って怒られるかな?って、心配も半々だったの」

「・・・・怒られるかな?って・・・・」

ちょっと苦笑が零れた青組さんだったなりけれど、確かに今日がこんなにいいお天気じゃなくて、風もそんなに気持ちよくなかったら、どうだったなりかなぁ?なんてことも少しだけ思っていたなり。

だったらこの快晴とそして爽やかな風に、赤組さんも、そして青組さん自身も感謝!!だと思う青組さんだったなり。

「ま、いいわ。確かに俺も、このまま帰るの、何か勿体ねぇ気がしたもん」

赤組さんは青組さんをどこへ連れて行ってくれるつもりなりか、道は果てしなくただ続き、先はまだ見えなかったなり。

 

だけど。

止まることはできない。加速する日々と。