××下宿屋木村 MERRY CHRISTMAS!!××

 

Q:「サンタクロースって本当にいるんですか?」

A:「この世に愛と信頼と正義のある限り、サンタクロースはいるのです」

 

「まぁ、めでたいことなんだろう」

青組さんは、控え室でため息をついたなり。イブにもクリスマス当日にも、ばっちりスケジュールが詰まっていて、

「俺らって人気もんじゃん」

鏡に向かって、にっと笑ってみたけれど・・・・。少しだけ息が詰まりそうな気がした青組さんだったなり。

ドアがノックされたのはそんな時だったなり。

「いいですかぁ?」

元気にドアを開けて入ってきたのは、スタッフの女の子で、

「よろしかったら、どうぞ」

と、青組さんの手にキャンデーがいくつか入った小さな靴下を渡したなり。

「なに、これ?かわいいじゃん」

「でしょお?お店で見つけたんですけれど、あんまりにも可愛かったんで、大量購入しちゃったんです。で、今、みんなに配っているんですよ」

「俺にも、くれるの?」

「あげますよぉ」

そういうと、彼女はまだいくつも配る予定なのだろう、忙しそうに控え室を出ていったなり。青組さんは、手の上に載ったちっちゃな靴下を眺めたなり。

「MERRY CHRISTMAS!!」

くすりと笑ってつぶやいた、青組さんに次の仕事場への移動の声がかけられたなり。

 

ミュージックステーションが終わったなり。

生番組のいいところは、きちんと時間通りに仕事が終わると言うことで、

「送ろっか」

同じ部屋に帰るのに、送るもなにもないけれど、一応青組さんに聞いてみた赤組さんだったなり。イブだし・・・・予定入っているかな?と9割くらいは断られると思っていた赤組さんだったなりが、

「あ、わりぃな、頼む」

青組さんはそう答えたなり。

「・・・・なんか意外な感じ」

言われて、青組さんはのびをしてから、ちょっと恥ずかしそうに

「ん、だってまだしばらく忙しそうだし、さ」

と言ったなり。

 

部屋に戻ると、赤組さんは帰る途中に買い込んだらしい、ケーキやシャンパンや、フライドチキンなどをテーブルの上に並べたなり。

「時間なかったから、こんなもんしか用意できなかったけど」

言いながら、赤組さんはテーブルの上のローソクに灯りをともし、部屋の明かりを消したなり。テーブルを中心にほんわりとした灯りに照らされて、暗がりの中に日常は隠されたなり。

ふう。青組さんは小さく息をついたなり。

「なぁ、おまえってば、気持ちのいい空間作るのうまいよな」

しみじみ、と言うように青組さんは赤組さんに言ったなり。そんな青組さんを赤組さんは逆に見つめ返したなり。

「え?・・・・珍しい・・・・おまえが俺のこと、ほめるのって・・・・」

「えぇ?いっつもほめてるべ、かっこいい、とか、日本一とか」

「だって、それ心がこもってねぇもん」

赤組さんはちょっとすねたように言ったなり。そんな赤組さんにかすかに苦笑しながら、青組さんは、何だかもったいなくなるようなゆったりとした空気を味わっていたなり。

 

ふと、青組さんはポケットの中のものを思い出したなり。

「なぁ、ちょっと目つぶって、手出して」

くすりと笑って、青組さんは、赤組さんの手の上にあのちっちゃな靴下をのせたなり。

「え?あ・・・・」

赤組さんは目を開けて、手の上のものを見るとふうわりと笑ったなり。

そして、どちらからともなく声をかけたなり。

「MERRY CHRISTMAS!!」

 

きよしこの夜・・・・

今宵は誰もが誰かのサンタクロース。