××下宿屋木村 寒い夜のお楽しみ××

 

「ただいまー、寒かったぁ!」

深夜、仕事を終えて下宿屋に帰ってきた青組さんは、迎えにきたのがボニータだけだと言うことに気付いたなり。どうやら今夜は、赤組さんの方が遅くまで仕事が入っているようだったなり。

「この寒いのに大変だよな」

自分だって、朝からそれまで働きづめだった青組さんだったなりが、ぽつりと呟いたなり。リモコンを手にしてエアコンを入れ、とりあえず部屋を暖めながら

「そうだ」

青組さんは立ちあがったなり。

「たまにはあったかいもん、作っといてやっかな」

確か冷蔵庫には、昨日のサラダの残りのレタスがあったはずだし、冷凍庫には鶏モモ肉もあったはず。ご飯も今朝は和食だったなりからジャーに残っているはずなりし、あとは赤組さん付きのマネージャに赤組さんの帰ってくる時間を確認して・・・・青組さんはにっこりと笑ったなり。

 

「だたいまぁ」

赤組さんが帰ってきて、青組さんは迎えに出てきたなり。

「あ、もう帰ってた?」

「うん、ところでさ、もう飯食った?」

「いや・・・・もしかして、そっちもまだ?」

「うん」

「だったら、ちょっと待ってて、すぐ作るから」

慌ててキッチンに向かおうとした赤組さんに青組さんは、やさしく微笑んだなり。

「なぁ、寒かった?」

「え?うん」

「だったらさ、俺があっためてやるよ」

言いながら青組さんは赤組さんの腕をとって、食卓へとむかったなり。そこにはほかほかと湯気の立つ、美味しそうな中華風のお粥がふたつ並んでいたなり。

「これ・・・・お前が作ったの?」

「うん」

自慢そうに言って

「まぁ、とりあえず食ってみて!」

青組さんは赤組さんにレンゲを渡したなり。

二人はふうふうと息を吹きかけて、冷ましながらお粥を口に運んだなり。

「何これ・・・・すっげーうめえじゃん」

赤組さんの明るい表情に自然と青組さんの頬も緩んだなり。

「なんかさぁ、本当に短期間で上達してるよなぁ」

「でもこれ、すっげー簡単なんだぜ?」

しみじみと言う赤組さんに、青組さんは照れくさそうに言ったなり。

「準備するのは・・・・2人分だったら、鶏モモ肉1/2枚に、レタス2枚とネギ5cm程と、ご飯2杯。あとは酒大さじ1杯とごま油小さじ1/2杯、塩少々・・・・」

「あ、全部うちにあったんだ」

「そう、だから作ろうと思ったんだけど。脂肪をとって一口大に切った鶏モモ肉をカップ4杯の水から茹でて、沸騰したらアクを取るの。その後、酒とごま油と塩少々入れるだろ?」

「それで?」

「その後はご飯入れて、時々混ぜながら、弱火で14〜5分煮るの。で、火を止める前に5mm幅で切ったレタスと、斜め薄切りしたネギを入れて火を通して、できあがり」

嬉しそうに言った後、青組さんは付け加えたなり。

「それから、ゴマ入れたのは俺が考えてやったんだけど・・・・?」

「絶対これ正解!!米のやわらかさと、レタスのしゃきしゃきとゴマのぷつぷつと、すっごくあってる!」

言いながら、青組さんがどんどん油断のならないライバルに成長していっていることを、実感した赤組さんだったなり。

まぁ、とりあえずは。

身体も心も思いっきりあったまって、二人はとっても幸せだったなり。