「たぁく、ちゃん!」
青組さんが、ちょっとふざけてインターフォン越しに小学生のように呼びかけると、しばらくして、
「悪ぃ、今シャワー浴びてるとこなんで、鍵使って勝手に入っててくれる?」
赤組さんの返事があったなり。
とりあえず貰ってはいるけれど、滅多に使わない合い鍵で青組さんは赤組さんの部屋に入り、シャワーの音を聞きながらリビングに向かったなり。ふと見ると、ビデオデッキの電源が付いたままだったなり。
「なんか見てたのか?・・・・もしかして、AVだったりして?」
言いながら、青組さんはテープを少し巻き戻して、ビデオの再生を始めたなり。それは、去年の誕生日に青組さんがプレゼントしたガンダムのビデオテープだったなり。何だかこそばゆいような気持ちで、青組さんはテープを止めようとして、その手を止めたなり。そして、ちょうど髪を拭きながら部屋に入ってきた赤組さんに振り返ったなり。
「おまえ、何見てんだよ?」
にやりと笑う青組さんの意図がわからないまま、
「何って、おまえがくれたビデオだろ?」
答えた赤組さんだったなり。
「ふうん・・・・(笑)」
「何だよ」
言って画面を見て、赤組さんも青組さんのにやにや笑いの訳を知ったなり。画面ではちょうどセイラさんが、タオルをとって浴槽から立ち上がろうとするところだったなり。
「あのなぁ、中学生じゃあるまいし、この程度で喜んでどうすんの?」
「でも、こんなところで見るのやめてるし」
「・・・・」
「何で、湯船の中見えねぇんだよ?とか思ってたのかな?ってさ」
「そうだよなぁ、あんな時代にまでバスク○ンはねぇはずだよなぁ?って?」
「そうそう、あとちょっとで見えるのに、とか」
「・・・・」
お互いに顔を見合わせて笑うと、赤組さんは冷蔵庫から取ってきたビールの缶を青組さんの前に置いたなり。
「あ、でもシャワー先にする?」
「ん」
赤組さんから着替えを受け取って浴室に向かいながら、今年は何にしようかな?と1ヶ月半後にせまった赤組さんのバースディプレゼントを楽しく考える青組さんだったなり。