「中居?」

赤組さんの声に返事はなかったなり。いぶかしく思った赤組さんが青組さんをのぞき込むと、温泉でのぼせる寸前まであったまった青組さんは厚みのあるふかふかの布団に倒れ込むようにして、いつの間にか眠り込んでいたなり。

「のび太くんじゃねぇんだから・・・・」

そう言って、苦笑した赤組さんだったなりが、規則正しく繰り返される寝息に、やがて静かにため息を付いたなり。

赤組さんは青組さんの寝顔に、つい最近終えた横浜のライブでの青組さんの言葉を思い出していたなり。

「おじいちゃんになっても、SMAPやってていいのかなぁ?」

それは、ずっと赤組さんが望んでいた言葉だったなり。

赤組さんは、まるで本当に聴いているかのように、眠る青組さんに優しく話しかけたなり。

「なぁ、おまえが、やっと、歳取ってもSMAPって言えるようになって、どれだけ俺がほっとしてるかわかる?あの時からずーっと、おまえ、めちゃめちゃだったじゃん?雑誌のインタビューだって、“夢なんてない、今やりたいことは何もない”って笑ってみせたりして。」

「ほんとは俺に何か出来たら、ってずっと思ってた。けど、おまえは自分のことに手出しなんてさせるやつじゃないし、それに夢なんて本人が見たいと思わなくちゃ、見られないもんな。・・・・だから。ずっとそばで見てた。それでもいつか、俺にも何か出来る事があるんじゃないかって。・・・・見てるだけってほんと、つらかった」

言いながら、赤組さんは青組さんの小さな顔にかかる髪をそっと払ったなり。

「やっと、自分の場所、見つけられたんだって、そう言うことだよな」

そして、小さくつぶやいたなり。

「おかえり」

 

それから赤組さんも、静かに眠りに就いたなり。だから、赤組さんは知らなかったなり。

「ごめんな・・・・ただいま・・・・」

しばらく後で、月明かりに消えるように小さく聞こえた、青組さんのそんな言葉を。