何かの気配を感じたのか、ボニータはリビングから玄関に向かったなり。

「ただいま〜」

ドアを開けて、帰ってきた赤組さんに飛びつかんばかりにして、喜ぶボニだったなり。赤組さんもボニの頭を抱きかかえてぐしゃぐしゃに撫でてやったなり。そして、リビングから、ゆっくりと出てきた青組さんに顔を向けたなり。

「ただいま」

「お疲れさん、・・・・お帰り」

「ありがと」

「ん?」

「ボニのことと・・・・こうして、ここにいてくれて」

聞かないふりで、背を向けてリビングに戻った青組さんだったなり。

 

「で、これは何だよ?」

「何って、おみやげ」

「・・・・天下の木村拓哉が、何で土産物抱えて帰ってくるんだよっ?」

「・・・・だって、おみやげ買いたかったしぃ・・・・」

嬉しそうに荷ほどきを始めた赤組さんの横で、それをのぞき込んでいた青組さんだったなり。ウイスキーと思われる洋酒の瓶に、ナンプラーをはじめとした調味料類、アジアンテイストな派手なパッケージに入った、現地の食材らしきもの、等々。

「何?タイ料理でも作る気?」

驚いたように言う青組さんに、

「すっげー、うまい料理があったんだよ!明日作ってやるからな」

と赤組さんは目を輝かせ、

「これ、おまえにみやげ」

と、先ほど出した洋酒の瓶を青組さんに渡したなり。

「なに、これ?」

「メコンって言って、あっちのウイスキー、割と強いみたい」

「ふうん」

言いながら、青組さんは受け取ったなり。その間に赤組さんは二つのグラスと、氷と炭酸水を準備してきたなり。

「さっさと片づけちゃうから、先にやってて」

青組さんはそれを受け取ったけれど、何となく、片づけている赤組さんを見ていたなり。

「なぁ?」

「何?」

食材を冷蔵庫や戸棚に詰め込んでいる赤組さんに青組さんは言ったなり。

「おまえ、いい奥さんになれるよなぁ?」

「そぉ?」

久々の我が家で、ご機嫌な赤組さんはにっこり笑ったなり。

「だったら、中居がもらってくれる?」

青組さんは嫌な顔をしたなり。

「・・・・冗談。俺は、自分よりたくましい嫁さんはいらないから」

「いい奥さんになれるって言ってくれたのにぃ・・・・嘘だったのぉ?」

泣き真似をする赤組さんは、やっぱりハイなままだったなり。

 

「え?結構いいじゃん、これ!」

外国産のものということで、ちょっと飲むのをためらっていた青組さんは目の前で飲み干した赤組さんを見て、おそるおそるという感じで「メコン」のソーダ割りに口を付けたなり。

「そりゃ、そうでしょ?中居が好きそうな味だと思ったもん。原料が米だから、ちょっと焼酎っぽいしね」

「うん、これなら、飲める」

嬉しそうにグラスを傾ける青組さんに、帰ってきたんだなぁ、と、ようやく実感した赤組さんだったなり。

「おいっ、んなところで眠るんじゃねぇよ!」

あ〜、まだ話したいことがいっぱいあるのに・・・・、そう思いながらも、だんだんに遠く聞こえる青組さんの声を、赤組さんは幸せな気持ちで聞いていたなり。