必要以上に周りを気にしながら、青組さんはマンションのエントランスにそそくさと入ったなり。そのまま辺りに気を配りながら、とある部屋に辿り着き、鍵を開けドアの中に入ってから、ようやく息をついた青組さんだったなり。

「なんか、週刊誌に怯えて深夜の密会、って感じ?」

そう言って、苦笑する青組さんの足もとにじゃれてきたボニータに

「確かに美人の彼女が待っているには、待ってんだけどなぁ」

と頭を撫でてやったなり。そう、ここは赤組さんのマンション。別名木村旅館とも言えるほど、青組さんにとってもなじみ深いところだったなり。メンバー同士で泊まったりするのに、別に週刊誌に怯える必要も無いようなものなりが、

「でも、本人が映画の撮りで留守中の家に、合い鍵で勝手に入り込んでるっていうのは、やっぱどうかって感じだよなぁ・・・・」

と青組さんは思っていたなり。

いたなりが。

赤組さんが撮影に出かける前に、青組さんの部屋にまたしてもタムラが出没したなり。青組さんの部屋の吸い殻を捨て忘れていたはずの灰皿から、綺麗に吸い殻が消えていたなり。捨て忘れた、と思っていたのは気のせいで、実はきちんと捨てていたなりかなぁ、とも思った青組さんなりが、やはり気持ち悪かったなり。真剣にセコムに入ることも検討しようと思ったなり。

そんな風な青組さんに赤組さんは言ったなり。

「もしも、無理だったらうちの実家に連れてってもいいんだけど、ボニの面倒見てやってくんない?朝散歩に連れてくのと、朝晩エサやるだけでいいんだけど?あ、面倒くさかったら、何だったらうちに泊まってくれてもいいし・・・・。こないだの合い鍵、渡しとくし・・・・」

「何で、俺?」

「だって、ボニも最近中居に馴れてきたし、中居もボニ平気になったでしょ?」

だからどうしてそういう理由で、自分がボニータの世話をすることになるのか、今ひとつ納得のいかない青組さんだったなりが、ボニータの世話を口実に青組さんの事を心配している赤組さんにも気がついたなり。

それでもさすがに申し訳ないと思ったのか、赤組さんも

「中居が忙しくて無理だと思ったら、いつでもうちの実家に連れて行っていいから」

とも言っていたなりし、結局赤組さんの提案を受け入れて、ボニータのお世話係として赤組さんの部屋に泊まり込み状態となった青組さんだったなり。

その夜、青組さんがスマスマをぼんやりと見ていると、ボニータがやってきてそっとその隣に座り、じっと画面を見つめたなり。

「・・・・おまえも、寂しいよな」

青組さんはつぶやいて、やさしく頭を撫でてやったなり。最近は毎週のスマスマの撮りのほかに週末のコンサートとずいぶん一緒の時間が多かったから、青組さんにしても2週間以上会わないというのは久しぶりだったなり。

「もうすぐ、木村、帰ってくるから、もうちょっとの我慢だからな」

言い聞かせるように、ゆっくりと言う青組さんの頬を何度もボニータはなめたなり。