大きく伸びをして青組さんは深く息を吸ったなり。コンサート終了後、雨のため飛行機の到着がとてつもなく遅れ、携帯で連絡を取り合いながら、そのまま生番組に出演、と本当に息つく暇もないような数時間だったなり。
「あいつらも、もう着いたかな?」
ふと、メンバーのことを思ったとき、それに合わせるかのように携帯の着メロが鳴り始めたなり。
「わりぃ、今日は自分のとこに帰ってもらえる?」
赤組さんからだったなり。
「別にいいけど?でもどうしたんだよ?急に」
番組終了後には、TV局まで迎えに来るとまで言っていた赤組さんだったなりから、青組さんの疑問ももっともだったなり。
「ちょっと、足やばいみたいで、おまえのことまで手が回りそうにないから」
「やばいって・・・・」
負けず嫌いの赤組さんは、杖なしで富士登山をしたなり。そのためか筋肉痛がひどいとは、二日間のコンサートのMCでも話していたなりが、そんなにひどかったなりかと、改めて思う青組さんなり。コンサート中はやっぱり負けず嫌いを発揮して、よほど注意しなくてはファンの子たちにも気づかせないほど頑張っていた赤組さんだったなり。
「少しは休め」
と言っても、それを聞く赤組さんではないなりから、せめて負担を減らしたくて、いつの間にか、この二日間、いつもよりも必死に踊っていた青組さんだったなりが。
「馬鹿、だから無理して登るなって言っただろ?」
「だったっけ、ごめん」
素直に謝る赤組さんに青組さんはドキッとするなり。こんな時だって、いつもなら意地を張ってる赤組さんではなかったなりか?切れてしまった携帯を手にもう一度
「馬鹿」
とつぶやく青組さんだったなり。
「そんなにひどいなら、人の世話なんて考えんなよ」
言いながら、青組さんはポケットの中の合い鍵にそっと触れたなり。富士登山の時に借りて、返すタイミングをのがしたままの合い鍵だったなり。
「・・・・こういう時くらい、人に心配させろって」
青組さんはタクシーに乗り、赤組さんの部屋を目指したなり。