■無垢テーブルの基礎知識■

 何事にも共通することですが、知識があるのとないのとでは差が出ます。
     家具の場合、少しは知識がないと、価格の違いなどはわかりにくいものです。
              より良いものを手にしていただくために・・・・。 
             少々大雑把な説明ですので、あくまでも参考に・・・・ 
                                          なればと思います。
 
                                  
                            

■無垢
 
木製のテーブルの天板を例にします。テーブルの天板は
大きく分けて突板(ツキイタ)のものと無垢のものに分けられます。
ここでは無垢のものについてのみ説明いたします。
 
無垢(ムク)とは
本来ですと1本の天然の木から取れた一枚板を指すのですが
家具に関しては総天然木のことを総称して無垢と呼んでいます。

その無垢と呼ばれるものには、集成材、巾接ぎ集成材、一枚板、と
構造的には大きく3つに分けられます。
下図は天板を上からみたもので,その構造とそれぞれによく使われる呼ばれ方です。

集成材
フィンガージョイント
巾接ぎ集成材
巾はぎ材・巾接着
無垢板

一枚板
無垢板

 単純に一本の木から取れる部材の量(材料の歩留まり)を考えると左から右の構造に
近づくにつれ大きな木が必要となり、天板を作るのが難しくなる、価格が高くなると言えます。
すなわちテーブルの部材は縦と横と高さ(厚み)が大きくなるにつれ、値打ち=価値が上がると言えます。
■木目
 また一本の丸太から製材をする際の木の取り方(木目)によっても価格は変わります。
木の取り方には様々な取り方がありますが単純にわけると板目と柾目に分けられます。
一本の丸太からは、タケノコのような木目の板目のほうが幅の広い材が多く取れます。
まっすぐな柾目をとろうとすると板幅が制約され、取り残す材が多く出る、つまり歩留まりが悪くなります。
取れる量に加え、板目のもののほうが反りが起こりやすい性質を持つため、柾目のほうが良材とされ、
価格が高くなります。
 木目は人の好みですのでどちらが良いとは言いませんがまったく木目を選ばずに作る天板と
木目を選んで(例えば柾目のみや美しい板目のみで)作る天板とでは必ず後者のほうが価格は高くなります。


板目 柾目
 また木目の中には杢と呼ばれるその樹種特有の美しい装飾的価値の高い木目がでることが
あります。同じ樹種でも杢のあるものは価格が高くなります。
(杢についてはmaterial ボタンから木材図鑑をクリック。杢の種類でご覧ください。)

■樹種
 
木には様々な種類(樹種)があります。家具の場合、国内はもとより世界の家具の歴史の中で家具に適した
良い樹種というものがある程度決まっている、といっても過言ではありません。硬さや耐久性であったり、
木目の美しさであったり、加工のしやすさであったりと、歴史と経験に基く様々な要因があると思いますが、
ナラ・サクラ・ウォールナット・メープル・チーク・マホガニー・タモ・ニレ・・・・・・etc など、
これら家具に適した材はやはり家具になる前の木材の時点から価格は高く、逆に言うとこれらの樹種で
作られる家具が、「良い家具・良いもの」であるといわれる前提かつ必要条件になってきているとも言えます。
 つまり材料である木の種類によって家具の価格は大きく変わり、しいては将来的価値のあるなしの
判断基準になっているとも言えます。アンティーク家具の世界で高値のつくものや、
過去に作られた名作と呼ばれるデザイナーの家具の材質をみても、また高級品を作るメーカーの
使う材質をみても、これらのある一定の樹種、木の種類に限られていることからも判断ができると思います。
どの樹種が良いのかは個人の好みでしょうが、無垢のテーブルの価格は材質に何の木を使っているか
によって大きく変わると言えるのです。
■等級
 木材の価格はその蓄積量と供給によってほぼ決まり、あまり採れない希少材は高くなります。
また同じ樹種のなかでも製材したときに規格によりグレード(等級)がつけられ、
それぞれ価格は異なってきます。節の有無、節の数、割れの有無、木目の細かさ、
歪み、傷、変色など、様々な要因によって決まるのですが
このグレードまでは、木材の仕入担当者などの専門家にしかわかりません。
すごく簡単に言うと年輪が細かく、美しく、きれいな傷のないものほど価格は高くなります。
このようなことを考えると、いくら大きな一枚板であっても、聞いた事もないような材で、
木目が粗く、ヒビや割れ、汚れなどが多いものや、すごく歪んだものは、仮に高く売られていても
実際は木材的にはあまり価値がないと言えます。
また樹種によっては大きく成長するものとしないものがあります。
先に述べた、部材が大きくなるにつれ値打ちが上がるというのは、
少なくとも「同じ樹種で」という条件がつけられます。
また現実には、上に述べたような良材とされる木の大きな一枚板などは
そうそうお目にかかれるものではなく、美しいものなどはかなりの高値になります。
■含水率
 木は切ったものをそのまま使うと必ずといっていいほど狂いや反りがおこります。
木材には水分が含まれており、この水分が抜ける(乾燥する)ことにより収縮がおきるからです。
この木材に含まれる水分量(%)を含水率といいます。
家具にとって最も重要なことは、構造上の強度のほかに、材料となる木材が製品となってから
狂いや反りがおきないように乾燥すること、つまり含水率を整えることだとも言えます。
 一般には高級家具で8%〜10%といわれ一般家具でも11〜14%といわれています。
木材の製材後の乾燥方法は、天然乾燥と人工乾燥の2つに大きくわけられます。
 簡単に述べると天然乾燥は屋外に木材を放置し、時間を長くかけて水分を抜きます。
この方法ですと自然を利用するのでコストはかからないのですが、時間がかかる点と、
例えば平均含水率14%の地域では自然乾燥だけでは高級家具に必要な8%に
もっていくには難しいという問題があります。そのため人工乾燥が必要となります。
■人工乾燥
 人工乾燥とは乾燥炉に木材を入れ、温度や湿度を調整しながら、人工的に水分量
を整える方法です。これにより短時間で、天然乾燥では到達できない含水率まで
下げることができ、より狂いにくい均一な材が得られます。
しかし人工乾燥は天然乾燥に比べ、光熱費、人件費、設備費などのコストがかかります。
 現在、国内のおもだった木製家具メーカーは天然乾燥後、人工乾燥し、様々な工程を経て
いかにに含水率を平均化するか、つまり、いかに狂いをださずに、長く安心して使える家具にするか
ということを徹底しています。中でも無垢のテーブルを例に取ると、天板など大きな面積の
使用頻度の高いものには、製品としての強度を高めるためと、材の反りや狂いを更に防ぐ
ためにテーブルの裏に必ずといっていいほど、反り止め且つ補強の為に「桟」を入れています。
この反り止めも最近では、より天板がすっきり見えるよう、また脚やイスの肘などが入りやすいように
金物にして埋め込んである反り止めが増えつつあります。


 

■反り止め
 気をつけなければならないのはそれらの処置の甘い輸入品や無垢板、一枚板などです。
充分な乾燥をし、狂わないような処置をしている製品と、していない製品とでは
製品化にかけたコストや手間や時間に大きな差があり、当然価格にも差ができるのです。
 よく集成材だと反らないから安心、という言葉を耳にしますが、
確かに木は、面積が大きいほど乾燥が難しく、狂う確立は高くなります。
だからといって集成材が安心できるのではありません。
乾燥が不充分な集成材は落ち込みと言って、接いでいる部分部分に木が痩せ、
天板に凹凸ができる場合があります。それにやはり反ったり割れたりします。
 また乾燥が甘く、反り止めも充分でない一枚板などは買ったときはいくら安くても、
使いものにならないほどに狂い(反りや割れ)がでる場合もあります。
 すなわち大切なのは、乾燥の度合いと反り止めということになります。
無垢のテーブルの場合、それは作り手の木の知識や経験、良いものを作ろうという姿勢、
しいては長く使えるようにと消費者のことを考える姿勢 へと通じるものがあると思います。

■塗装とホルムアルデヒドと価格
 上記ようなこと意外に、無垢のテーブルは天板や脚の構造やデザイン、
その製造工程の手間、塗装方法、生産する量、強度試験の有無、
はたまた、作られる地域や国によっても価格は変わります。
 最近では人の健康を考えた、ホルムアルデヒドやVOC(揮発性有機化合物)
を含まないもの(F☆☆☆☆)は、何も気にしないでつくられているものよりは必ず価格は高く
なります。また通常のウレタン塗装よりも熱に強いセラウッドやセラミック塗装は、若干価格が
高くなります。仕上げに機械でなく手で仕上げているオイル仕上げも同じく高くなります。
やはり中国やタイやベトナムで作る品より、純国産品(made in japan)は人件費と
より丁寧なものづくりがされていたりで、価格は上ります。

 海外で作られるかなり価格をおさえた(安いもの)はウレタン塗装より安くできる
ラッカー塗装のものが多いです。ラッカー塗装は色落ちしやすかったり
塗膜の強度がウレタン塗装に比べておとる場合が多くなります。
この差は数年使って初めて実感できることが多いのです。そして
塗膜に問題が起きると、見た目が悪くなるので買い替えたくなるのです。



 いざテーブルを買う場合、生産工程や木の乾燥の度合いまでは目に見えません。
またそれを店員さんに聞いてもわかりません。しかし、目に見えるものを、
まずは どんな木でどんな構造で天板になっているのか、
そして 反り止めの有無やその処理はどうなっているのか、
どこの国で、それは丁寧に作られているかどうか、
万が一の場合のアフターサービスなど を確認してから
購入することが、長く使える良いもの より良い無垢のテーブルを
手にする場合の大きなポイントとなるのではないかと思います。

ここ数年、インダストリアルデザインや、ハンドメイドという名のもとに
傷や割れもあるひどい材料も多数出ています。エコと言えばエコですけど。
また、アンティークと言えばは聞こえは良いですが、ひどく言えば
外国人の古家具です。これもエコと言えばエコですけど。
新品が本物のアンティークになりうるような、しっかりした良い材質と
つくりのものを手にしていただきたいと思います。

☆この記述に対するご意見、ご質問にはお答えいたしかねますのでご了承下さい。あくまでもご参考に・・・・。