「中の人」、かく思う−−−ダイエーは、今


 第一回 「スーパー・丸紅」化はあるか?再生完了に一言
 
 ニュースなどでもご存知だろうが、産業再生機構入りし、いわば国主導で再建を目指していたダイエーは、パートナー会社としての丸紅が、機構保有の株式すべてを購入することで、再生を完了したと発表した。
 思えば、この再生機構入りにも一悶着あった。2004年10月、当時の高木社長は、民間主導の再生企業団方式を主張、この中に丸紅も含まれていた。ところが、数日も経ずして、再生機構入りがあきらかにされ、あれほど自主性を堅持しようと思った、気概すらなくしたのか、とがっかりしたのを覚えている。

 それから1年余り。不採算店の大量閉鎖、本社機能の移転(出来ることなら山手線の外側には行ってほしくなかった。東陽町って・・・) 、グループ企業の売却、大量リストラ・出向・・・。今頃になって、という、あと追い施策が立て続けに取られた。そしてようやくダイエーは「企業」としての基礎的な要件が整ったようである。

 私は常々、ダイエーは中内氏が作り、中内氏がまわしているから、面白く、感動もあった、といい続けている。しかし、鬼籍に入った彼とその家族には、もはやその力は無い。そうなると、ごくフツーの「企業」に脱皮しないことには存続が難しいこともわかる。ダイエーが目指した選択は、決して企業トップが思っていたものではないにせよ、会社の存続を考えるならば、一度も倒産しなかったというのは大きな点でもある。

 さて、グループトップに立っていたダイエーが、他グループに組み込まれるという図式は、私の長年にわたるダイエーウォッチの中でもほとんど想定外の出来事だといってもいい。商社である丸紅は、さらなる販路の拡大に乗り出したともいえ、また、並々ならぬダイエー所得の執念が実った結果ともいえる。
 そうなると、丸紅色の強いダイエーが予想される。丸紅のホームページには、ダイエーの再生支援として、『全社的な取り組みを通じて企業価値向上を目指しています。小売流通を通して得ることのできるお客様のニーズを川上・川中分野につなぎ、グローバルなネットワークを通じて商品開発および調達を行い、効率的な物流システム、情報システムを活用して安定的な供給を実現しています』(丸紅HPより抜粋)としている。

 私は「相思相愛」の丸紅が筆頭株主になったことは喜ばしいと思う反面、今後は商社の一部門的な商売しか出来なくなるような気がしてならない。自主独立がもはや風前の灯となっているダイエーの、「スーパー・丸紅」化が急速に進みそうで仕方ない。