「中の人」、かく思う−−−ダイエーは、今


 第三回 「Aeon」グループ化におもう
 
 ダイエーを取り巻く、経営環境は、本当にここ数年で、誰しもが予想のつかない輪廻を繰り返している。
そもそも、自主独立再建を断念した、2004年の産業再生機構傘下に入ったときから、ある意味、この程度の
ドラスティックな変遷は約束されていたのかもしれない。

 今年に入ってからの動きはあわただしく、とくに秋の声が聞こえ始めるころにピークを迎えた。
 まず、樋口社長の突然の退任。直後に予定されていた、丸紅からの取締役派遣(実質、丸紅の子会社化)と時期を同じくしていることから、彼自身が「機構からの株式移譲が終わったときが引き際」と考えていたことは想像に難くない。
 そして、林−西見体制がスタート。直後の10月中旬、イオングループとの業務提携が大筋で決まったとされる。
詳しくは、ダイエーのニュースリースにて
 
 ダイエーが他のグループ企業になることなど、10数年前には考えられないことである。それこそ、一度も他国に領地を奪われたことのない日本が敗戦し、連合国軍(実質アメリカ軍)に占領されたに等しいくらいのショックを、このニュースを聞いたとき思ったものである。
 そう、言ってみれば、当時のダイエーは、スーパー界の大日本帝国だったといってもいい。忠実屋やユニードを傘下におさめ、野球球団を持ち、パチ屋さえ経営していた(パチンコ店は、忠実屋にくっついてきたものだが)。拡大路線こそが社是であったかのようなスーパーが、まさしくバブル崩壊で補給路を断たれて衰退するのは明らかだった。
 ダイエーの戦いは、2004年の再生機構入りで、「終戦」となり、それはまさに「敗戦」でもあった。

 イオングループ入りは、それほど現場サイドでは大きく取り上げられていない。そもそも、ニュースリリースにもあるように、「ダイエーの自主性が尊重される」こと、実際に動き始めるのは2007年3月からというのが、実感を沸かなくさせているのだと思う。イオン側にしてみれば、中内色がなくなった、ただのスーパーを取り込むことが一大流通グループを構築するために必要との判断が動いたものと見られる。
 しかし、今のイオン店舗内は、『トップバリュ』だらけになってしまっている。一時期、ダイエーも『Savings』だらけになりつつあったが、イオンほどではなかった。提携が実現した暁には、イオンの開発商品がダイエーの棚に並び始めることになるであろう。
 それにしても、王者の転落人生、どこまで続くのやら・・・・。