「中の人」、かく思う−−−ダイエーは、今


 第四回  創業50周年! もうひとつ盛り上がらないのは?
 
 ダイエーの創業は、ものの本によると、1957年(昭和32年)9月23日、大阪・千林駅前にわずか97uの店舗を構えて営業を始めたのが始まりとされている(ダイエーの前身である、大栄薬品工業も同年4月10日に設立されている。創設と創業が同年のため、会社がどちらを「創業記念日」にしているかは定かではない)。
 当時は初日わずか28万円の売り上げ。それでも損益分岐点が6万円だったという店舗としては、望外の売り上げだったと当時の社員は語っている。

 そのダイエーも極度に膨張した90年代後半、そして、バブルの負の遺産処理に追われた2000年代前半と退潮傾向。CEOも亡くなり、再生機構入り。ここ最近は、ジオン軍ならぬ、「イオン軍」配下に収まる、没落振りを露呈している。だから、というわけではないが、この、創業50周年企画どれをとっても「大成功」とはいっていないのである。
 事実、株価がそれを裏付けている。4月20日ごろから50周年企画はスタートしたが、瞬間的に上げはしたものの、5月以降はダダ下がり。7月も天候不順がたたって既存店は苦しい状況にあるものと見られる。

 盛り上がらないのには、何か理由があるのだろうか?いろいろと考えてみたのだが、外的要因(天候や気温)だけが原因とはいえないと思うのである。わたしはひとつには「社員/パートアルバイトの士気低下」があると見ている。それは「中の人」だから気づく部分でもある。
 赤字を理由にほとんどのパートは時給を固定化され、同様に社員はボーナスカットやサービス残業をして売り場を回さなくてはならない現状。「ここまでしてるのに」正当に評価されない、お金にならない職場でどこまで真摯に対応できるというのだろうか?また、時給が上がらない(近隣他業種店舗に比べて低く据え置かれている)状況で自然減に見合うだけの新規パート/アルバイトも入ってこない。となると既存パートにしわ寄せがくることになり、不公平感がより増殖する。こんな、モラル低下の負のスパイラルに陥っている中での50周年企画。「売れていない」のが何よりの証拠である。

 営業力回復が急務という社長はじめとするトップのお歴々には、下下にそろそろ還元すべきときが来ていると言う認識に立ち、いい人材を少なくとも金で他に移らないよう抱え込むなどの「先行投資」を行わないと、まさしくイオンに飲み込まれ、いいところ取りされてしまう可能性がある。もはやこの規模以上の縮小均衡は、死活問題ともいえるだけに、今後、株価が1000円を割り込むような事態が起これば、「ダイエー危うし」の声は確実に起こりえると思う(ちなみに2007.7.19終値 1143円。)。