「中の人」、かく思う−−−ダイエーは、今


 第六回 「プロ」を獲る気のない企業? 
 
 私的に残念なお知らせをしなくてはならない。当方、バイトからの格上げを狙って社員登用試験を受けたのだが、ものの見事に滑った。

 まあ、年齢的な面や「(社員としては)必要ない」と映ったと思われるので、この結果には半ば納得している。しかし、このことは、今のダイエーが抱える構造的な欠陥を如実に表したものともいえるのである。そもそも新入社員が長続きしない/大量に獲る気がないから社員登用を考えに入れ始めたはずである。売り場や仕事の進め方を知っている、戦力になっているバイトを引き上げるほうが安上がりで手っ取り早いからである。当方としても大幅年収ダウンとなってもいいから応募したわけである。
 それでも要らないとする理由が思い当たらない。面接官に私のダイエー愛が伝わらなかったのが悔しい。

 そのことは逆に、「ここまでドライになってしまったのか」と想起させるに十分な状況証拠ともいえる。彼らの判断だから私がとやかく言うのは間違っているのは承知の上だ。それでもここまでやってきたことをまるで灰燼に帰するかのような仕打ち。十分に「見切っていい」と私が考えるに十分な結論だ。
 実は別の小売店の店頭で立っていると私を名指ししてくる人たちがいる。「あぁ、やっぱり、あのダイエーに勤めていた・・・!」(ここで私は苦笑しながら、まだいるんですがね、と答えるのが定番)と来るわけである。つまり、それほど印象深い従業員なのだ。一介のバイトという域を超えたものを私が持っているから覚えてくれているわけである。それでも「いらない」という。所詮企業というものはそんなものかと思わざるを得ない。

 自信過剰といわれてもいいが、私は自分の仕事には誇りを持っている。プロ意識とでも言おうか?そんな志の高い人間をも門前払いにする器量の無さ。やはり均衡縮小・他グループの軍門に下った企業にとっては、そんな尖がった人はお断りなのだろう。