「中の人」、かく思う−−−ダイエーは、今


 第八回  顧客満足度調査の落とし穴
  
 よく聞かれる、「覆面調査員による店舗評価」をダイエーも行っている。内容は、売り場での活気のある応対、客目線に立った商品・売り場案内、レジ通過時の基本動作などなど、多岐にわたっている。
 とはいうものの、こんな「アナログ的」な評価方法でしか、店舗の出来不出来を判断できないとは、お粗末極まりないといわざるを得ない。しかも、「点数」という数値に惑わされる人が余りに多いのに驚いた。
 そもそも点数をつけているのは、ダイエーが契約している、調査会社の社員である。彼らの素質も、「公平性」も、この会社に一任してしまっているかのようである。つまり、「データは正しい」と盲信してしまっているのである。しかし、「悪く評価しよう」といった恣意的な動きがあったとしても、それをダイエー側では見抜けない。また、人によって甘い/辛いは必ず存在するはずである。公平性を謳う野球の審判でも個人のレベルと癖があるのと同じである。つまり、調査員が店が営業している時間帯の一瞬を切り取って評価することそのものに疑問が生じるのである。
 それともうひとつ。こういった顧客満足度をあげようと思ったら、一定のレベル以上の人員を補充すれば事足りる。それもしないで、ただ点数だけ上げろ、というのは、なかなかに難しい。店舗では、人減らしに躍起になっているのに、人員不足で(目の前のことで手一杯状態)まともに接客できうるはずがない。

 実はこの満足度調査の結果は、店長クラスの査定とも密接につながっている。顧客相手の満足度調査が上長の査定のダシに使われるのに、そして、その点数がよかったからといって自分たちの給与に反映するわけでもないのに、どうして真剣に取り組めようか?モチベーションも上がらず、いつ訪れるか分からない調査員にどきどきしながらの仕事なんて、面白くもなんともない。
 そして、外部企業を使っているということは、全国の200店舗余りに対してかなりの金額の調査費用を支払っているとみられる。こういった費用を使うだけの余裕を、パート従業員の賃金アップに使えないものだろうか?それだけでも店の雰囲気は変わってくるはずである。
 顧客満足度という名の調査。会社の「自己満足度」を調べているかのように最近映ってきてしまった。