「中の人」、かく思う−−−ダイエーは、今


 第九回  「帳尻あわせ」は許されるのか?
  
 さすがの私も腹に据えかねる事象がここ最近続けて起こっている。しかし、たとえ私のような一バイトとは言え、「おかしい」と思うことには声を上げることになんら不都合を感じていない。あの老舗料亭だって、結局は内部告発的な形で廃業を余儀なくされている。とりあえず、私と店のどちらの考え方が正しいのか、は皆さんに判断していただこうと今回は書かせていただく。
 そもそものことの起こりは「時間短縮につながる業務の改善」である。深夜営業をしている店舗なのだが最終のレジ売上金集計(レジ上げ)を前日の営業時間中に行うことで最終の業務を簡素化するというのが目的である。そして、そのことに私を含めて大多数のバイトは従った。ところが、この「前日の営業時間中にレジ上げをする」ことにばらつきが生じ始めたのである。つまり、一定の時間に行うことが実質できなくなっていったのである。そして、その理由が人員不足や繁忙というのではなく、「予算数字が足りないから」といった、店の都合で集計時間を遅らせることが多くなり始めたのである。

 つまりはこういうことである。「予算を達成できた」のなら通常の設定してある時間前後にレジ上げしてもいいが、予算が達成できていなければ、ぎりぎりまでレジを開放し、最悪閉店までレジ上げをせずその日の売り上げにしてしまう、というやり方で数字をあわせようとしているわけである(もちろん、翌日の朝までレジを放置はしない。そこまでやったら監査が入るのは当然だからである)。
 このことが指し示す問題点は、「予算の形骸化」である。「この数字に近づけよう」という意思表示は分からないでもないし、それが店の営業努力でもあるからでもある。しかし、今のやり方では、完全にある一日の売上予算とは乖離するのは明らかである(前日の売上の一部を引っ張っているから。翌日にまわす分とこの数値がイコールである保証はない)。違法といわないまでも予算という数字の指標性が失われるような気がしてならない。そして最も重要な視点は、このやり方が会社を代表していないということである。
 24時間営業の店のやり方を踏襲し、時間単位で管理していくのであれば問題ないが、レジ上げが終わるとレジは翌日営業日を指し示す。それからは翌日の売上としてカウントされてしまう。時間がばらつけばそれは、店の営業時間が一日ごとにばらばらであることと同一である。これが全社的に許される(黙認?)のかどうか疑問なのである。

 結果的に閉店後レジ上げを行わなくてはならない日が月に4・5回は発生。月末日は必ず閉店後レジ上げ日になっている。こういうやり方をして、予算いったとかいってないとか一喜一憂する姿を見て、結局は自分たちの保身/数字合わせを楽しんでいるだけではないのか、と思ってしまう。その挙句に勤務時間は減らされ。不都合ばかりが噴出する…。先ごろコンプライアンス同意書なるものにサインさせられたがこういった店幹部の日和見主義的なことがコンプライアンスに抵触していないのかどうか、調べてもらう必要性を感じたのである。