それって、どうなん?
  第四回:Peachにはがっかり・・・
 本格的LCC(ロー・コスト・キャリアー/格安航空会社)として、日本で始めて開業したといえる「Peachアビエーション」。さまざまな料金体系が物語るのは徹底したコスト削減による(逆を言えば、手数料で稼いでいく)実質的な航空料金の適正化を目指していることにある。
 ※Peachの開業により、これまで格安、とされてきたスカイマークやスターフライヤーですら、LCCといえるかどうかは微妙である。wikiを参照すると、両者ともLCCである、という記載はなく、又、世界のLCCを一覧にしているwikiページでも、先述した2社を始め、AIRDO、スカイネットアジアも含めていない。

 つまり、ネットですべてを完結させることのできる人にとってはこの上もなく利用しやすいのであるが、ネットに明るくない人にとっては、いろいろとわずらわしく、又、出張などで大量の手荷物が発生する人などにとってもあまり好ましくないのではないか、と思ってしまう。
 しかし、その頼みの綱でもあり、唯一の玄関口でもあるwebやHPがお粗末極まりないことに正直憤慨しているのである。

 「沖縄就航の際に攻略を」と小生も考え、事前の会員登録でもしておこうか、と思い立ちPeachアカウントを所得しようとするのであるが、住所欄に漢字で記載するとエラーが出る。住所を簡略化しようとして「-」(ハイフン)を入れるとこれまたはじかれる。やむを得ず、すべてをローマ字で入れ、ハイフンも「NO」(ひらがなの「の」)でいれて何とか成立させたものの、今度はログインできないといってくる。パスワードでも間違ったのかなと思ってリマインターにメアドを入力しても、一向に返信が帰ってこない。同じメアドで登録しようとすると「同じメアドでだめ」とは言ってくるので、データ自体がないわけではない。もうわけがわからなくなり、ナビダイヤル仕様の問い合わせセンターに電話してみて驚いた!

 「Peachアカウントは受け付けていません」という第一声だったのである!とてつもなく驚いてしまった。アカウントの説明文には『Peachアカウントの作成により、複数予約の確認・変更及びお客様情報を更新することが簡単にできますのでFlyPeach.com でのフライト予約が一層便利になります(抜粋)。 』とある。事前の登録があってもしかるべきであり、「作っとけば後々楽よ」とも読める内容だ。だから作ったのに「運用していない」という返答に当方もさすがに切れた。
 文字入力に関しても文句を言うと、搭乗予約をしているのであればそちらのほうはまともに入力はできるようなのだが、アカウント作成のほうは担当もよくわかっていない様子だった(コールセンターと思しきところにつながったと見られ、なまりも感じられたので、当然この手の問い合わせには慣れていないと考えられる)。

 WEB予約専業的な航空会社で、基幹システムの一部でもある、アカウント情報の恐ろしく喜撰なあつかわれかたに当方のボルテージも上がるばっかりであった。とはいえ、「システム担当を呼び出せ」と文句を長々と話しする気にもなれず(コールセンターなのでどうせ担当者などいるはずもない。たらいまわしにされるのが落ち。又ローマ字入力でしか受け付けないということは、システム開発者が外国人の可能性は極めて高く、話がかみ合わない恐れもある。途中でナビダイヤルであることに気付いたのもある^^;)、メールで思いのたけをぶつけるところもなく(これがないのも正直がっかりである)、渋々この場は引き下がった。しかし、実際開業後しばらく経っているというのに、顧客情報検索画面や、件のPeachアカウント画面の不具合/登録しても意味がないとのアナウンス等の不掲載 が改善されている様子はまったく見られない。

 料金体系も「何かといえば手数料」と、まるでアトラクションごとに料金を請求される遊園地を彷彿としてしまった。足が伸ばせる席の位置は機首の6席となんと非常口近くの席。緊急時にはほかの乗客の補助もしなくてはならない「特等席」に追加料金を出させる感覚もよくわからない。とにかく気がつけば「そんなに安くないわね」ということになるのが落ちである。
 そこで、そんなに安いのか、実際に検討してみた。出発時刻まで合わせてみると意外な事実がわかった。

 3/29 発  3/31帰着の日程で、空席のあったANAとの競合である、関空-福岡便、機内預け1個で比較してみた。(この記事作成中の3/23の時点の価格/空席状況)

 発便価格 ピーチ 最安価格 9480円 +支払い手数料210円 +座席指定手数料210円 +機内預け荷物 1個1050円 = 10950円
       ANA  14500円(手数料等なく、ワンプライスで確定)
      
 着便価格 ピーチ 最安価格 10580円 +支払い手数料210円 +座席指定手数料210円 +機内預け荷物 1個1050円 = 12050円
        ANA  14500円
 
 手ぶらに近い旅行であれば、この旅程で行きではなんと5000円近く安く仕上がる(預け手数料なしの実質運賃は9900円)から魅力的に写るかもしれないが、もし手荷物が2個以上になったら、運賃の安さを手数料が相殺してしまうのである。(2個目は2100円、3個以上だと3150円/個プラス)しかも、予約時に申請したときより、手荷物個数が増えてしまったりすると、WEBでの申請し直しができず、コンタクトセンター(人間)経由となり、勢い手数料も余分にかかる。個数減の場合でも払い戻しはない。
 勿論、キャンペーン価格や、早くに予約すれば下限に近い価格で購入できるなど、利点がないわけではない。しかし、急に決まった出張などでこのわずらわしい「手数料まみれ」の料金にビジネス客が飛びつくかといわれるとかなり厳しい。最安値の運賃の場合、購入後の取り消しは一切の返金がない(取消手数料100%)、変更も高額の手数料が必要など、流動的な旅程を余儀なくされるビジネス客はさらに飛びつきにくくなる。又、関空の受付カウンターは、ターミナルビル内ではなく、商業施設の一角。そこからバスで移動するという、きわめて特異なパターンだ。

 内心、かなりがっかりしており、沖縄線就航の際にも利用する気になるかどうかははっきり言って微妙である。ただ一番のネックといえる手荷物の軽減にさえめどが立てば、ツアー価格程度の料金が打ち出せるのではないか、と考えている。
 どちらにしても、いまやネット全盛期の中にあって、一番お金をかけるべきところをなおざりにしているPeachには猛省を促したいところである。