本格的LCC(ロー・コスト・キャリアー/格安航空会社)として、日本で始めて開業したといえる「Peachアビエーション」(以下、ピーチ)。それに追随する形で、拠点空港を「成田」にした2社が開業。いよいよ、「空の価格破壊」は本格的なフェイズに突入した。
第七回:期待してもいい! LCC乱立はどうなのか?
一社は、海外でも実績があり、どちらかといえば、なじみの深い「ジェットスター」(国内線事業はジェットスタージャパンが運営)、もう一社は、マレーシア拠点のエアアジアの日本法人である。
先行開業した、ピーチに関しては、早くも国際線に参入(とはいえ、航空機のサイズなどから考えても遠距離は難しく、韓国/台湾が精一杯)、期待の沖縄便も10月中旬に就航するようだ。それはそれでいいことなのだが、すでに他国で実績を積んでいるエアアジア・ジェットスターの参入は、正直脅威として映っているはずである。
というわけで、3つ巴になりそうな予感のLCC合戦。同一航路がある場合でしか比較検討が出来ないため、こういうパターンでの対決となった。
第一戦・関空−福岡線 ピーチ VS ジェットスター
第二戦・成田−福岡線 ジェットスターVS エアアジア
ちなみに、Peachとエアアジアの直接対決は出来なかった。
条件を一応揃えて比較した。<記事作成は8/28夜>
1. 出発日/帰着日 2012.10.1(月)発 2012.10.4(木) 帰着
2. 機内預け手荷物はすべてなし。機内持ち込みのみ。価格帯/該当便が複数存在する場合は、最安値の価格を掲載。
3. 予約手数料/座席手数料などを含めた価格で表記し、かかる手数料は内訳記載とする。
第一戦の結果
○ピーチ 往路 10/1 3710円(支払い手数料 210円 座席指定 210円) 発時刻 7:30/12:05/19:45
復路 10/4 3710円(支払い手数料 210円 座席指定 210円) 発時刻 9:10/13:45/21:25
○ジェットスター 往路 10/1 5940円(支払い手数料 200円 座席指定 250円) 発時刻 10:10
復路 10/4 5940円(支払い手数料 200円 座席指定 250円) 発時刻 8:40
第二戦の結果
○ジェットスター 往路 10/1 5540円(支払い手数料 200円 座席指定 250円) 発時刻 6:10/12:50/18:00
復路 10/4 7440円(支払い手数料 200円 座席指定 250円) 発時刻 11:55/15:20/20:30
○エアアジア 往路 10/1 8130円(支払い手数料 150円 座席指定 300円) 発時刻 7:00/11:40
復路 10/4 6830円(支払い手数料 150円 座席指定 300円) 発時刻 9:25/14:05
一応料金は出揃った。
特に第一戦の比較は目を引く。3便飛ばしているピーチの圧勝である。まあ、基幹空港を関空にしているピーチにしてみれば、負けられない一戦ともいえる。しかし、2000円以上も差がつくとは正直思わなかった。新幹線で行けば片道14500円かかるところが、なんとピーチなら1.5往復できてしまうのである。いや、ちょっと足せば2往復も可能な金額だ。
そして二戦目の考察に移るのだが、じつは、ジェットスターで逆転現象が起こっているのだ。とはいっても、早朝便(6:10発)が特段安く設定されているだけで、本来であれば、7440円となるところである。ただ、成田発6時台は稀有といえ、早朝着の国際便の乗り継ぎも考えると、意外に需要はあるかもしれない。
それ以外でも、この二戦目は意外な結果になっている。7時発のエアアジアが8000円越え。しかし、ジェットスターは6000円かかっていない。かと思えば復路は、キャンペーン価格のあったエアアジアに軍配が上がっている。
ここまでの経緯でみてみると、これまで「飛行機が優位」といわれていた路線にこぞって参入しているところがおもしろい。例外なく「福岡」を押さえてきているところが味噌である。つまり、距離もほどほどにあり、運行本数も大手含めてダントツ。勿論千歳便もいずれの会社も乗り出している。逆に新幹線のシェアがあまりに高い東京−大阪はいずれもやっていない(成田−関空はジェットスターのみやっているが、トランジット的な意味合いが強い)。こまめに地方都市を回っているピーチが、いわば国内旅行の起爆剤になろうとしているのとは対照的に、ジェットスター/エアアジアともに、まずは大手のシェア取り崩しにドル箱路線にしか目を向けていないといったところで、すみわけが出来ているように思う。
先ごろ襲来した台風による欠航は、LCC利用者にとってもいろいろなデメリットを感じるいい機会になったと思われる。「安い」のは確かにいいのだが、他社振替や臨時便などの対応を一切しないLCCを利用するなら、こういったデメリットも受け入れる覚悟は必要になるだろう。
次回は、LCC利用とツアー料金の一大比較である。