第八回:Peach VS 既存ツアー/勝つのはどっち?
本格的LCC(ロー・コスト・キャリアー/格安航空会社)として、日本で始めて開業した「Peachアビエーション」<以下、ピーチと記する>。海外路線も就航させるなど、好調を維持しているようである。
そしてようやく、沖縄線の就航が発表された。今年の夏、と期待に胸膨らませていた当方としては、秋からかよ、ということで期待も半減。また、当初は2往復で、時間帯もすこぶる悪く、正直使い物にならないかな、という程度で考えていた。
ところが、3往復が可能になる来年2月からは、早朝便が登場。これに乗れば沖縄着が9時20分と、丸一日完全に動ける。そう。これを待っていたのである。
そして今現在の価格が驚愕の5210円から(手数料なしの実質運賃は、最低価格が4790円だが、ここでは手数料を含めた総額で考えていきたい)。来年2月の分でも現在価格はこの値段になっている。
往復では10420円。JAL/ANAの34200円(通年/正規割引なし価格)、先ごろ就航を始めたSKYの12000円程度(曜日/季節変動あり)で比べても、驚愕、という文字が何度出てきてもおかしくない価格である。
でも、われわれは、「往復航空券よりかなり安い」ツアーの存在を知っている。たとえば、沖縄/札幌など、遠距離に向かう便が多いところでは、確実に片道料金に毛が生えた値段で、往復のAir代に宿泊やレンタカーがついている。
格安航空券でなくても、いろいろとオプションがついている海外旅行の場合でも、「実質、航空料金ってどんだけ?」と目を疑うような価格がでているときがある。すべてを込み込み/ごった煮にすることで、そのどこからもいくばくかの割引を得、それを積み重ねるから相応の価格で提供される、それがツアーなのである。
すでに当方は、ピーチの価格は、必要最小限の利益しか乗せていない、「ツアー価格」に近い価格である、と断言した。であるならば、ツアーと遜色のない価格がでるのか?それとも、相乗効果にはかなわないのか・・・。検証してみる必要がでてきたといえる。
今回は、かなり条件が複雑である。
そこで、まず諸条件をそろえることにした。
○日程 今現在のツアーの売り出し期間は、秋から年末にかけて。実は、秋口は、沖縄旅行のねらい目の時期である。そこで、出発を10/22(月)、帰着を10/25(木)の、3泊4日に設定した。
又、参考として、11/22(木)→11/25(日)という、連休・繁忙期についても価格があるものは赤字で掲載する。
○ツアー内容 格安航空券+1泊のパターンに完全フリーの3泊4日スタイルの二種類とし、「2名一室」の旅行とする(最低催行=2名と言うツアーも多いため)。「ツイン」でない場合は別途記載
○利用航空会社 JAL(関空発はJTAがメイン)/ANA とSKY利用ではかなり差が出る。どちらも採用する。ただし、関空発で限定し、いわゆる「基本便」のみとする(便のアレンジはとりあえず考えない)
○利用宿泊施設 いわゆる市内スタンダード系と、リゾート系の2種類を上げた。
ピーチに関しては、いわゆる最安値の「ハッピーピーチ」ではなく「ハッピーピーチプラス」料金を採用する。これをしないと、機内預け手荷物の面で不公平が出るからだ。又、レンタカーも、ピーチのHPで案内されているところではなく、当方が独自で探した最安値を掲げる。ホテルに関しては上記条件に合致するところを、それぞれ組み合わせる。
というわけで検索を始めた。結果は、ピーチの善戦振りがあり、一部のツアーではかなりの安値がたたき出せた。
宿泊施設名 | JAL(JTA)/ANA | SKY | ピーチ | |
市内スタンダード | 東急ビズフォート那覇 | 33800円(レンタカーあ り) |
別項にて計 算 |
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44800円(レンタカーあ り)☆ |
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那覇グランドホテル | 20900円(セミダブル/レンタカー あり) |
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23200円(セミダブル/レンタカー あり) |
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リゾート | ザ・ビーチタワー沖縄 | 36000円(レンタカーあ り)※ |
別項にて計 算 |
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61600円(レンタカーあ り) |
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沖縄かりゆしビーチリゾート | 26700円(レンタカーあり)※ | |||
28700円(レンタカーあり)※ | ||||
格安航空券+1泊/1泊4日 | 23900円(レンタカーあ り) |
18000円(ダブル/レンタカーな し) |
別項にて計 算 |
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51500円(レンタカーあ り) |
20700円(ダブル/レンタカーな し) |
○ピーチの料金計算
1.航空運賃 記事作成の8/30現在で、10月発のハッピーピーチプラス往路の最安値は9300円、復路は8200円である。
又、11月発の価格は、往路10400円、復路は14500円となった。よってAIRだけで17500円/24900円となる。
2.宿泊 東急ビズフォート那覇のツイン 3泊分で超早割り利用で一人12150円(一室24300円)
那覇グランドホテルも3泊分で早割り利用で一人13500円
ザ・ビーチタワーは、最安値で一泊8300円。2泊で16600円(3泊 24900円)。これに那覇市内の5000円を追加して、21600円。
かりゆしリゾートは、WEB限定ながら早割りで2泊10500円。これに那覇市内の5000円を追加して、15500円。
格安航空券+1泊の「1泊」は、ツイン一室料金9000円として、一人4500円。
3.レンタカー 4日間、Sクラスでの最安値は6300円となっている(閑散期に当たるため)
というわけで、10月料金は、上から35950円/37300円、45400円/39300円、そして、28300円(レンタカーあり)に22000円(レンタカーなし)
11月料金は、上から43350円/44700円、56100円/46700円、そして、35700円(レンタカーありに)29400円(レンタカーなし)という結果になった。
残念なことに、SKY設定のツアーには、そのどれもが大幅に負けている。驚いたのは、繁忙期のツアー価格がそれほど上昇していないという点である。
格安+1泊では、10月と11月で倍以上の価格差が出ているのだが、航空券が「格安でなくなる」とこういったケースが発生する。又、「連泊しない」ことで宿泊先でのディスカウントも期待できないためにこうした高止まりが発生すると見る。
しかし、徹底比較をした上で分かったことがある。
・やはり、ツアーは相対的に安い/繁忙期であっても、すべてを個別でブッキングする手間を考えれば十分お得。個人旅行ではどうしても割高になってしまう。
・ピーチの出番は、突発的な出張や宿を必要としない人限定、と考えるのが妥当であり、ピーチを基準にツアーを構築することはあまり得策とはいえない。
・大手は、ほとんどただ同然で飛ばしても「利益が取れる」。ピーチにその余力はないからまだ高どまっている。
顕著なSKYで見るとよくわかる。那覇グランドの宿泊+レンタカーで19800円。え?AIR代1100円?!それも往復・・・。勿論、代理店価格がどちらにもあるから、この数式どおりにはいかないだろうが、正直航空料金などただ同然だということである。そう考えると、個人ですべて予約、はやはり安くならない、という結果になって当然である。
徹底比較してしまったおかげで、SKYの価格優位性が明らかになってしまい、又沖縄に行きたくなってしまった・・・