それって、どうなん?
  第九回:ついにLCC初体験。その現状にアタック
 これまで、このコーナーでは、LCCに関していろいろと書き綴ってきた。先駆者的位置づけのPeachをはじめ3社が、お互いのテリトリーを食い荒らすことなく、今までのところ、いろいろ問題は内包しながらも、順調に運行を行えている。
 「いろいろな問題」とは、例えば、現在進行中でもある、ジェットスタージャパンの機体トラブルである。エンジントラブルが長引いており(エアアジアとPeach導入の機体に搭載されているのとは別の会社のエンジンだそうだ)、休航だらけになってしまっている。機体のやりくりが出来ないのは仕方ないとしても「使うのやめようか」という層が出てきてもおかしくない。

 そんな中で、当方は比較的国内の観光地をメインに、需要発掘ともとれる地域への就航で収益を取ろうとするPeachの動向を注視してきた。そして、晴れて2013年2月20日、鹿児島便で「LCCデビュー」を飾ることになった。
 
 往復Peach利用し、問題点というか、いろいろわかったこともあるので報告がてら紹介したいと思う。
 ○朝一便といえども、遅れるのは日常茶飯事
 ブログ「多趣味・マツキヨの落書き帳」でも紹介している、LCCの運行状況。→こちらのサイト。スマートフォンでは当日の運行状況が逐一分かるが、なぜかPCだとリンクをクリックできない。
 これを見ると、寸分たがわず運行できている便など皆無であり、それは、遅れることなどあろうはずのない朝の一便目からですら発生しているのである(ここで言う出発/到着はドアクローズ/ドアオープンであるので注意が必要)。
 あれだけ搭乗締め切りなどを厳格に設定しているにもかかわらず、こういう事態が訪れるのは、やはり運行のダイヤ/機体繰りに余裕がないからに他ならない。
 また、搭乗案内方法にも疑問が残った。これについては後述する。
 ○じつは「荷物制限」はあってなきが如し
 ハッピーピーチは、いわゆる機内持ち込みのみの対応料金であり、大きさと重さ/個数には制限が設けられている・・・・・・はずである。
 しかし、帰路の関空便では、明らかに3個/4個といったラゲージ所有の、旅客を多く見かけた。それもお土産という範疇を越えている感じである。
 当方は、保安通過時までは1個にまとめ、そこを過ぎると機内での読書など用に小さいバッグを分離する手法を取っているのだが(勿論重さも規定範囲内)、見ている限り、キャスターケース+2個、という限界ぎりぎりの旅客もいた。
 これが可能になるのは、人を介したカウンターでの搭乗手続きを行わないことが起因している。搭乗券の印刷は無人機対応。ここを過ぎると荷物の個数や重さのチェックなどは一切行われない。
 <保安検査では、危険物を持ち込んでいないかどうかだけの調べしか行わないため、規定数量・重量を超える荷物があっても、ここではとがめることがない。ただ大きさについては、トレイを超える形のものははじかれる可能性がある>
 こう考えると、この二種類の料金にしてしまっていることが、「とりっぱぐれ」を多く生んでいるようにも思えて仕方ない。次回からは、実際に重くして帰りに乗ってみたいと思う。
 ○なぜ後方から案内をしないのか・・・
 朝一の鹿児島行き便。A−C席から搭乗を始めているのに疑問が残った。前の搭乗口から見て右半分である。しかし、30列(180席)もあり90人近くが、テンでばらばらに入場したらどうなるのか?具体的には、前よりの人間が一気になだれ込んだときに糞詰まりとなり、遅々として進まなくなることに気付かないのだろうか?
 普通、後部座席から詰め込んでいけば、込み合うのはその一角だけ。順次前よりに埋めていけば、確実に搭乗時間は短縮できる。もっと言えば、朝一便くらい、搭乗開始時間を早めにして、三々五々埋めていくようにしたとしてもなんら問題はないと思うのだが。そこまで時間にきっちりしている、又定時運行に協力してというのなら、そういう提案も受け入れてしかりである。
 ちなみに関空行きの便では、窓際から埋める作戦を取ったが、これもやはり時間を食うやり方だと思う(結局前よりの人間が多くいれば後ろ側の人を待たせることになり、結果的に同じ)。

 気になる搭乗率なのだが、当方も驚く混雑振りであった。鹿児島自体が観光地であるとはいえ、女性の数人のグループや年配の夫婦、当方のような「お一人様」やビジネス客と思しき面々も散見された。平日であるにもかかわらず、往路/復路ともに90%を超えており、空席だったのは行きの非常口周りと帰りの数席のみという状況だった。いやはや、LCC恐るべし、といったところである。まあ当方としてもこのクラスの料金でなければ南九州シリーズを挙行しようとは思わない。

 4月に仙台便も就航させるPeach。大阪ー仙台ははっきり言って大阪ー鹿児島より需要は少ないと見て取れるので、「採算あわずに廃止」となる前に急いで乗っておきたいと思う。
 LCC、いろいろデメリットはあるにせよ、使えなくはないだけに、今後、どこまで伸張するか見物である。