それって、どうなん?
  第十四回 関西でしか買えないっ!!! グランカルビーの実力
 久しぶりの、「ビビッときたネタ」に関するどうなん?について書くことができる。
 
 そもそものきっかけは、日経の「MJ」の記事。たしか一面だったと記憶しているのだが、ここで話題にされていたのがお菓子メーカーの「カルビー」。カルビーといえば、かっぱえびせんだったり、じゃがりこやサッポロポテトなどのジャガイモ関連のお菓子が真っ先に思い浮かぶはずである。
 そのカルビーが、なんと、百貨店向けの販路を開発しようと、製作したのが「グランカルビー」と言う新しいブランドである。
 →こちらがグランカルビーのHP。だが、トップページからは行きづらいことが判明。「直営店」と言う位置づけらしいのだが、サイトマップから行くのがトップからの訪問方法。

 日銭的な、小売店での価格が100円前後のお菓子業界の中にあって、4個入り60g、本体価格500円の「ポテトチップス」が果たして理解と支持を得られるのだろうか・・・。確かにアベノミクス効果もあって、百貨店では、食料品フロアの落ち込みは限定的とされており、客足が途絶え閑散と言うイメージはあまりしていない。しかし、たかが油菓子である。そんなに買って帰るやつなど・・・・・・・


 いたのである。それも大行列を作って、数量制限があるにもかかわらず、大半がそのリミット一杯までの購入を普通に行っている。当方試算では、ほぼ毎日300人程度しか買えない超のつくプレミアム商品。実際ネットオークション上でも6品種即決5000円、なんていう「一儲け企む」層もいるほど(因みに入札は入っており、3500円/まあ長時間並ぶことを考えれば500円でその時間が買えるとすれば納得できるか)。とにもかくにも買って食べてみないと「それって、どうなん?」に応えられないではないか。

 と言うわけで2014.5.24の土曜日に、大阪梅田早朝着の夜行バスを降りたその足で阪急百貨店うめだ本店に向う。→購入にかかわる顛末は、当方のブログに記載していますのでそちらを参照いただければ幸い。「多趣味・マツキヨの落書き帳」

 6品種を前にして、何かものすごいお宝をゲットしたかのような感触が胸をよぎる。何度も言うようだが、「高級」とはいえ、所詮はポテトチップスの亜種である。これごときに5時間近くも費やすからには、それ相応の味と満足感が得られなければ、かかった金銭的な部分よりも時間のほうでむなしさを感じてしまう。
 既にすべての味を試食しているので、ここで当方のインプレッションを含めて6種類を紹介していくことにする。

 ○プレーン系
 しお味  ロレーヌ岩塩使用というのがうたい文句。もちろん、これがベースになっていることは間違いない。歯ごたえや食感は今までのポテチにはないもの。ちょっとしたカルチャーショックを受けること間違いなし。(★★★★)
 濃厚バター味 こちらは北海道産バターを100%使用。チーズも混ぜているので濃厚感は際立つが、ジャガイモの風味に負けていると感じる部分もあった。(★★★)
 ○ミール系
 トマト味 トマトの風味を前面に押し出してはなやかさを演出。吹き付け手法なのだろうが、意外にしっくりくるものがあった。(★★★)
 チーズ味 これは本当に「チーズ味のポテトチップス」と認識できる、いい感じの仕立てになっている。ワインがぴったり、の味付けには脱帽。(★★★★)
 ○デザート系
 焦がしミルク味 最初何のことか分からなかったが、キャラメルコーティングのことだった。ただいかんせん、そのコーティングのせいで中身は2枚とか言うのがざら。しかし重量感もあり、当方的には二番手。(★★★★)
 いちご味 ポテトチップスにいちご、と言う一見ミスマッチ風だが、これはこれで製品として十分に成立している。最もデザートらしく感じられ、女性には大人気である。(★★★★)

 ※当方のランキング @チーズ味 A焦がしミルク味 Bしお味 Cいちご味 D濃厚バター味 Eトマト味

 一番手に「チーズ」を挙げたのは、完成度の高さからである。しお味が3番手なのは、使用している塩自体が上品過ぎる嫌いがあり、ストレートに塩加減を体感できなかったところによる。プレーン系がランキング上位に入らなかったことからも、フレーバーに力が入っている証拠だといってもいい。

 ではそろそろ結論に入りたい。
 「100円で、ポテトチップスは買えますが・・・」の懐かしいCMをあげるまでもなく、ただ薄くスライスしたジャガイモを揚げるだけでできていたポテトチップスが、21世紀にとんでもなく進化した形で我々の前に現れるとは想像だにしていなかった。
 だが、その「進化」は、庶民のポテトチップスから「高級志向のポテトクリスプ」と言う、新ジャンルのお菓子へと変貌を遂げた瞬間でもある。
 今回の「グランカルビー」を実際に食べてみて、カルビーのお菓子で今まで過ごしてきている小生にとってとてつもない幸福感を味わうことができた。
 とは言うものの、入手に至るまでの紆余曲折は、正直ごめんこうむりたいのである。せめて「ネット予約」くらいは活用できる体制作りをしておかないと、終いに客が離れてしまうことにもなりかねない。また全国展開も難しいと見る。

 「旨い」と「買える」が両立して初めてブランドイメージが確立する。今の状況では、まだまだ道半ば。並ばせていることをどう感じているのか、また少しでも改善しようとしているのか・・・。今後の展開にも注目である。