いまや、スーパーの店頭に行けば、どこのスーパーでも、「自社開発ブランド」を持っていることにお気づきだろう。
トップバリュ(イオングループ)、SAVINGS(ダイエーグループ)などが有名どころであるが、中小スーパーも商品供給を受けている母体企業の開発商品を納入、販売している場合も多い。
この手法を最初に開発したのは、日本にも上陸して鼻息の荒い、あのフランスの「カルフール」社。このアイディアがアメリカに渡って、世界的に知られるようになったのである。
ダイエーが、現在のSAVINGSの前身となる、「ノーブランド」をスタートするのは、昭和53年(1978)8月20日のことである。
当時のラインアップを見てみよう(資料より抜粋/発売当初の価格。もちろん消費税なしの正味価格)。
商品名 量目 価格 現存比較可能なSAVINGS商品価格(税込) しょうゆ 一g 148円 155円 サラダ油 一` 295円 281円 信州味噌 一` 158円 198円 醸造酢 500ml 78円 102円(詰換用) ホットケーキミックス 450g 119円 249円(900g) はちみつ 一` 648円 イチゴジャム 一` 495円 514円 クリーミングパウダー 450g 368円 312円(300g) フリーズドライ
インスタントコーヒー250g 1350円 商品なし スプレードライ
インスタントコーヒー250g 849円 522円(詰替/
230g)オレンジドリンク※ 510g 82円 商品なし パインドリンク※ 510g 82円 商品なし グレープドリンク※ 510g 82円 商品なし
(※・・・すべて果汁10%)
当時と現在で物価の水準が異なっていることもあり、また、この当時は狂乱物価といわれた時期である。今の段階でこの価格が適性なものか、有名ブランドより安いか、については言及を避けたい。ただ、わずか13品目でスタートしたこの試みが、日用品にまで波及、最高37品目にまでラインアップが充実していったことは、当時の消費者に受け入れられていた証拠でもあろう。実際、「ノーブランド」商品はよく売れたようである。
とはいうものの、これだけに満足しないのが当時のダイエーであった。と言うより、同業他社との競争が激化して、安閑としていられなくなったというのが実情のようである。
昭和55年に、日用雑貨をメインとした、第一次「SAVINGS」製品が店頭に並ぶ。消耗衣料といえる下着類やタオル、鍋釜に包丁など、ノーブランドが食料品や消耗品をメインにしたのとは一線を画していた。
「良い品をどんどんやすく」という、社是が開発の根底にあったことは想像に難くない。しかし、コンセプトは受け入れられたものの、デザインが野暮ったく、又数年して売上鈍化が顕著になってくる。ここに来てダイエーは、この、ストアブランドを統合することに決定、「ニューセービング」として再出発を切ることになる。これが1984年(昭和59年)のことである。パステル調(薄いピンクがメイン色だったと思う)の包材にほぼ統一され、英字で「SAVINGS」の文字が3列に配された。
ここで品目は、一気に180まで伸び、又すんなりとしたデザインも受け入れられ、売上を伸ばしていく。ちなみに資料写真から、登場当初の食器用洗剤(ママレモンタイプ)が98円、食器用洗剤マイルドタイプ(チャーミーグリーンタイプ)が165円となっている。
そして統合と同時に、一部商品は「愛着仕様」ネームとして再出発を遂げ、「無印良品」と並んで、スーパーの独自開発商品の、もう一方の成功例として挙げられることになる。
というわけで、現在のSAVINGSは都合3代目となる。平成3年の、「オレンジジュースでのCM」を皮切りにリニューアルを開始、ほぼすべての食料品群で進出を完了した。平成19年にはロゴを一新、ラインアップも大幅に変更されたが、イオングループとの提携が「Savings」の命運を決めた。平成20年2月をめどに現有「Savings」はイオンのPBブランドである「Top Valu」に吸収されてしまうのである。かくして、ダイエーのPBブランドの代名詞であった「Savings」は登場30年目の節目のときにその役割を終えることになったのである。
☆参考資料・PS For the CUSTOMERS ダイエーグループ35年の記録 92年9月
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