第4回:防火管理の重大さ
 2月後半は、一件の重大な放火事件と、雑居ビルの火災でのオーナーたちの逮捕というニュースが駆け巡った。
 特に、今回は、隣国・韓国で起こった、地下鉄での、焼身自殺未遂が発展した、大火災が連日のように報道されている。

 まず、今回の事件で、わけもわからず車内に閉じ込められ、もしくは有毒ガスを吸ってしまい身動きも取れなくなって命を落とした150名あまりの人たちに心から哀悼の意を表したい。出火車両にいた人たちはいち早く脱出できたはずなのだが、運悪く(といってもこれが過失の可能性が出てきたので運で片付けられなくなってきた)、入ってきた対向車両にまで引火、人的被害を大きくしてしまった。ホームに進入さえしていなければ、この大惨事は防げたのではないか、というのが大方のマスコミの論調である。
 この件に関しては私も同意見である。出火当時の指揮命令系統がしっかりしていれば、運行自体がとまり、対向車両の、駅進入は防げたはずである。火の海になっているかもしれない駅に入るということがどういう結果をもたらすのか、考えられなかった人たちがいたということが残念である。どうやらこの当時の運転手と車掌の各2名計4名、運行管理者にも逮捕状が請求された模様で、近い将来刑事訴追されることは必至である。
 もちろん、すべての根源となった放火犯(と言い切れるか?放火は目的ではなく、焼身自殺を地下鉄車内でやろうとした、とんでもない人間)は当然のように処罰されるべきである。死を持って償ったとしても地下鉄が死の舞台になってしまったことを市民は決して忘れないだろう。又、これに当局の過失がクローズアップされれば、矛先は犯人より、被害を拡大させた地下鉄関係者に向けられると思われる。この手の裁判は時間がかかることが多いのだが、迅速な審理をお願いしたいものだ。

 もう一件は、死者44人もの大惨事になった、新宿・歌舞伎町のビル火災で、「放火」はほぼ間違いないとしながらも、その放火犯逮捕の前に、防火管理を問われて、ビルのオーナーやテナントのオーナーと店長などが逮捕された、というものである。ニュース速報が流れた時に、「6人逮捕」などとでてくるものだから、「放火犯がつかまったのか」と私も色めき立ったが、ビルの関係者の逮捕にとどまっている。
 ビルを限界ぎりぎりまで使いたいと思うのはどのテナントだって同じである。しかし、避難通路が1本しかないビルの階段を物置代わりに使うことだけはして欲しくなかった。又、出火場所とされるテナント直前の防火扉が故障していたという、恐ろしくいい加減な防火体制が被害を大きくしてしまったのはいうまでもない。
 逮捕という結末はわからないでもないが、「どうして今ごろ?」という声も聞こえてきそうである。発生からなんと1年半近く。今までの捜査はいったいどこにどれだけ時間がかかったのか、理解に苦しむことばかりである。刑事責任を問う形になったとしても、これだけ時間がかかった理由がみあたらない。

 この2件の事件/事故。いずれも、防火管理体制の不備が原因である。「防火」意識をもっていないとどういうことになるか、まざまざと思い知らされたこのごろである。
コーナートップへ