第14回:何故強い?何故弱い?
「伝統の一戦」といわれる、阪神×巨人戦。しかし、ここにきて、戦力の差というものをまざまざと見せ付けられる、甲子園での2戦を見終えて、とうとうこの欄で書きたくなってしまった。
阪神タイガースが強いわけは、探せば結構ある。
・「星野イズム」の浸透
去年星野阪神は、序盤でなかなかの成績を残しながら、オールスター前に失速、最下位こそなかったものの、不本意な終わり方をした。しかし、それも突然持ち上がった監督人事の影響と見れば納得。今年は去年のシーズンオフからチーム作りに奔走している。
・強力補強の成功
伊良部投手の加入は、ただでさえ元から厚い投手層に一段の厚みを与えた。リーグ屈指の強打者の金本氏のFA移籍も効いている。7/12の試合で投げた下柳投手もベテランの味を出し切っている。
・ムーアの存在
投手なのか野手なのか?この、摩訶不思議な外国人投手は、打撃絶好調!彼が打って投げて、という、一人舞台の試合も数知れず。彼自体は気分屋であることは間違いないが、彼が投げる時は他球団から見れば、打線の途切れることのない、緊張感のある打順である。
・コーチ陣の補強
田淵コーチをはじめ、達川、西本といった、球界で名の知れた人たちをコーチに招へい、とどめは特命コーチのオマリー氏。特に、星野−田淵ラインは強固といわれており、このあたりが打線好調の証といえる。
・「勝ち癖」が負け癖を駆逐。
かつことで増える、「貯金」。白星を重ねることでどんどん増えていく貯金の楽しさをとうとう(ようやく?)選手達は知ってしまったのだ。だから連敗も大きなものはひとつとして今年経験していない。
では一方の弱くなってしまった巨人のそのわけ。
・「松井欠乏症」
生え抜きで球界一のスラッガー・松井の抜けた穴は、これほどまでにも大きかったのか、と思わざるを得ない。特に巨人−阪神戦の、得点と失点が、去年以前と全く逆転している(7/11・12の試合でも明らか)。得点力の基軸が松井だったわけだ。
・投壊・・・
何度、この文字が、スポーツ紙をにぎわしてきたことか・・・。先発がふんばれないのは仕方ないとしても、後続に出てくるピッチャーが打たれること、打たれること!とうとう河原までもが中継ぎに回らなくてはならない危機的状況。優勝の目は完全になくなった。
・FAだのみの、金満打線
江藤/ペタジーニ/清原。この3人だけでいくらお金がかかっているか?!彼らのいるおかげで若手が育たないのは当然のこと。試合に出てナンボのこの世界で、飼い殺し的な選手起用についに破綻が訪れたと見ている。
・先発投手陣の高年齢化
桑田/工藤の2枚看板。しかし、それもかなり色あせている。年齢とスタミナの関係から、投球数がキーポイントになる。最近早い回でのKOが多いのもこのあたりが原因と見られる。引き継いだピッチャーも流れを止められるほどの器の投手おらず、炎上、というパターン。
・監督の無策ぶり
行き着くところ、監督である。松井の後釜にペタジーニを据えれば、という安易な考えしか浮かばないフロントに首脳陣。FA頼みのチーム作りの限界に今ごろ気づいても遅い。ジャイアンツファンには悪いが、しばらく苦悩の時代が・・・。
というわけで、ほぼ優勝確定の阪神タイガース。今年ばかりは、夢と違いまっせ!
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