第17回:浮かれてばかりもいられない・・・
結果がわかっている、単勝1倍という超鉄板レースに、世の中の競馬ファンはほとんど無関心である。「当たって元」ということは、主催者側の持ち出しとなるわけで、当然そういう番組/出馬登録状況にしてしまった主催者側に問題がある。あえてそれに立ち向かうファンが大勢いると、オッズは振れて面白いのだが、1頭に数千万突っ込まれてオッズが乱れてその影響をもろにかぶった経験もあるにはあるが・・・。
しかし、本題は競馬論ではない。もちろん、「総裁選」である。某ニュース番組で、4人の候補者が雁首そろえてキャスターの質問に答えているシーンがあった。キャスターは、小泉氏の勝利を信じて疑っていない様子で、その仮定のもと質問するものだから、ほかの3候補、特に亀井静香氏はへそを曲げてしまっていた。ことあるごとに、「私が負けることが前提にあるじゃないですか」を連発。「負ける勝負を仕掛けるわけがない。勝ちにいく」と3候補ともが全員強気の姿勢を見せていた。しかし、競馬でたとえるならば、小泉さんはほとんど仕上がった、超A級のオープン馬。敗れる要素や接戦になる含みはあるものの、「相手関係に恵まれて」の勝利はほぼ確実。一方の3候補は、どれもが単勝万馬券。ぎりぎり亀井氏が2ケタ台かと思うが、それでも勝てる見込みは限りなく薄い。
また競馬論になってしまったが、要するに、「力がないのに小泉さんに立向かった」だけのことであり、3候補が何を目的に総裁選に出馬したのかがむしろ焦点ではないだろうか?
そしてスタートした第2次小泉改造内閣。新味に乏しく、完全に「場つなぎ」的な様相を呈している。当然、選挙をにらんだ布陣になっているのは言うまでもない。10月中旬に総選挙がスタートし、秋の選挙は久しぶりの2大政党の激突が見られるわけでそのあたりは楽しみなのだが、中でも「顔」的存在にあえて安部氏を幹事長に持ってきたのは恐ろしい人事である。
「恐ろしい」と書いたのにはわけがある。安部氏自体が、かなり国民の前に顔を出して意見しているからである。ほかの閣僚の顔ぶれを見ても、どれ一つぴんと来ない。国土交通省の石原氏にしたところで、中に入ってしまえばその色に染まらないとも限らない。しかし、ポリシーを持って政治に取り組んでいそうなのは安部氏と小泉氏なのである。つまり、この二人が党の上層部を握ったことで、安定政権が保たれるというところまで来ていると見るのである。
小泉さんはこの時を待っていたのかも、といえる絶妙のタイミングで安部氏を幹事長に据えることで、選挙も乗り切り、党内の反対勢力の切り崩しも図って磐石の態勢を築くつもりなのだろう。麻生氏の入閣もそのあたりが狙いと見える。また、一部議員の寝返りをポスト狙いと攻撃した橋本派も、彼らが入閣しなかったことで求心力を失ったのは間違いなく、ますます小泉色の強い自民党になりそうな予感である。
と浮かれてばかりもいられない。株価は依然底堅い動きは示しておらず、若年層を中心に凶悪化が進み、全体として治安がかなり悪化している。高速道路はまだ作るといっているし、財政赤字もほとんどほったらかし。これで総理が務まるのだから、いかに大変を装っても、手を打っていないように見られてしまうようでは中身がない。選挙後の一手を考えているのだろうか?
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