第2回:派遣?派兵?貢献?言いなり?
もうすでにあらゆる方面で議論されていて、いささか食傷気味になっておられる方もいらっしゃるのではないだろうか?それほどまでに今回の「イラクへの先遣隊派遣」はさまざまな議論を呼んでいる。
さて、今回のこの政府の決断を私なりに咀嚼してみた。そもそも、今回のイラクに対する攻撃には、「大量破壊兵器を見つける」という大義名分があったにもかかわらず、首謀者の身柄確保という一大エポックがあったというのにその片鱗すら見出すことが出来ないでいる。つまり、大儀に偽り、ないしはよく調査しなかった上での勇み足ということが出来る。そうなると、先制攻撃という部分には否定のしようがなく、国家が国家を不当に攻撃した後始末を各国に要請しているということにもなる。
それでも遅ればせながら人的貢献をしようというのである。確かに「精神論」としてはそれで通用するかもしれない。しかし、現地人の立場から見て、自衛隊の人々は「占領軍」と映りはしないだろうか?日本は約60年前、国家間の戦争にもろくも敗れ去り、連合国軍の占領下に置かれるという、苦い体験がある。このときは、国家としての日本にも、日本人にも、連合国軍に反撃しようとか、ゲリラ戦で少しでも一矢報いようという動きはほとんどなかったと聞く。それほどまでにコテンパンに打ちのめされたのである。しかし、イラクでは、すでに米軍の死者数は200人をはるかに超えている。それでなくてもアメリカ軍は、一部でむちゃくちゃな行動をやってしまっている(礼拝日にモスク襲撃はいくらなんでもやりすぎ)。米軍と行動を共にすることがこれから多くなる、「同盟国」日本の「軍隊」にも被害が及ぶと考えるのが当然である。
私個人の意見を言わせてもらうならば、和平のプロセスが見出せず、それどころか、駐留する外国の軍隊すべてを無差別に攻撃し始めている今のゲリラ戦状態のイラクに、何人たりとも送ってはならない、と考えるのである。もし仮に、襲ってきたイラク人を曲りなりにでも撃ち殺すようなことにでもなれば、これこそ、大問題である。確かに石破防衛庁長官は、いいことを言っている。「人的貢献をしないで、利権だけもらう国にはなりたくない」と。しかし、それ以前に、憲法を破る恐れのある状況がすぐ目の前にあるような国に、自衛隊を派遣しなくては、日本はこれからやっていけないとお考えなのだろうか?そこまでお考えなら、即刻公用車を使うのをおやめなさい。というより、石油エネルギーに頼る生活をおやめなさい。
下手をすると殺し、殺される恐れがある状況。これは「戦争状態」というのであって、政府が説明している「安全」という言葉とは程遠い。今後の展開ひとつでは、先遣隊だけですむかもしれないが、下手をすると、都合のいい調査報告がなされて大量派遣となってしまう。特に神経を尖らせている韓国・中国にも配慮できる派遣となるのか、注目である。
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