第5回  岡部幸雄ジョッキーの引退に寄せて
 関東ジョッキー界の重鎮・岡部幸雄氏の引退はこれからクラシック戦線突入かという競馬界に波紋を投げかけている。
 彼が単なる一ジョッキーではなく、最年長で、JRAに対する功績も多大であるというところである。普通傷病といえども一年近く休めば、騎乗依頼自体が来なくても仕方ない。それでも彼のところには引く手あまたの依頼が殺到。それだけ、彼の騎乗技術が優れているということの証である。それが突然の引退会見。正式には書類自体を9日にJRAに提出、その時点で夕刊各紙がでかでかと報じた。むしろ今日の引退会見が奇異に映ったくらいである(昨日行われていたと勘違いした)。
 記者会見によると、彼が引退を決意したのは、「日曜日の騎乗後」。前日の土曜日騎乗のときにも、「追えていない」と認識していたため、同じようなら鞭をおこうと決めていたそうである。休業の時にも「辞めるからな」と冗談交じりに周囲に話していたといっているが、遅かれ早かれ、引退の文字は彼の肩に重くのしかかっていたのは想像に難くない。
 とはいうものの、彼の穴を埋められる、関東所属の騎手は、というと、かなり玉不足である。岡部氏が一種「神」のような存在だからかもしれないが、それでもそのあとを継ぐというには、柴田氏/蛯名氏ではやや役不足ではなかろうか?それだけ、岡部氏の存在というものは大きすぎたということが言える。

 実は、彼にとって、JRA内部に残る可能性はほぼゼロに近い。定年間近なので調教師の道は殆どないに等しい。スポーツ紙で、競馬コラムを書いたり、レース予想している姿も似合いそうにない。しばらくは恩給のようなもので食っていけるだろうが、彼が今後、どのような道を歩んでいくのか、老婆心ながら興味深いところである。なにはともあれ、お疲れ様でした。
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