第4回  土建立市・神戸の行く末は?
 2月16日、全国で97番目となる神戸空港が開港した。
 普通、新空港開港となれば、町はお祭りムード一色になるはずなのだが、ほとんどといっていいほど、町は盛り上がっていない。それもそのはず、滑走路は1本、国際線が離発着するわけでもなく、就航予定だったジャンボ機も飛ばない。極論すれば、単なる「地方空港」なのだから仕方ない。

 そもそも神戸空港計画自体は20年以上前からあった。当時は、伊丹一極集中、増加する国内・国際線をさばききるので精一杯だった。そこへ海上空港を建設しようと考えたのが神戸市だった。ところが、計画そのものがバブル崩壊で頓挫。関西国際空港の開港を受けて、神戸に空港の必要性は大きく薄れた。さらに阪神大震災の直撃を受けて計画そのものを声高に言う人すらいなかった。・・・・はずである。
 ところが、神戸空港は着工してしまった。ときに99年9月。それこそ、震災の爪あとが町のあちこちに生々しく残っているさなかの着工だった。市は、「復興のシンボルに」などという、あいまいなスローガンを掲げて空港新設を訴えたが、神戸市民は、建設する前にするべきことが山ほどある神戸市に「建設反対」を突きつけていた。98年に「建設の是非を問う住民投票を行うための署名」(建設反対の署名ではない)を35万人集めていたにもかかわらず、議会はこの署名を黙殺。当然である。住民のコンセンサスの得られていない空港建設なのだから。そして、建設したい、建てなければならないと市が固執する理由は、たった一つ。「建設業界への便宜」しかない。

 埋め立て事業で、都市を広げてきた神戸市。ほかの、海岸沿いにある都市がほとんど行っていない事業をしなくては、都市の拡大ができないという地理的条件があるとしても、ポートアイランド、六甲アイランド、そして空港島と、3つも巨大な陸地を造った都市は類例がない。しかも、そのいずれもが、「空き地」の占める割合が高い、とんでもない状況を露呈している。空港島にいたっては、売却計画そのものがまったく進展していないという有様である。ここまでして、島を作る理由は、埋め立てや、道路などの基盤整備、そして建物を建てる建設・土建業界なくては、市が成り立たないことを意味している。
 そして空港は開港した。確かに、空港島に行くアクセスは、すこぶるいい(ちなみにターミナル・三宮からポートライナーで15分足らず、新幹線・新神戸駅から車で15分程度。なお、伊丹は大阪から最低30分、関空にいたっては難波・天王寺から1時間弱掛かる)。島へ渡る道路橋は、無料で利用できる(関西空港連絡橋は通行料がバカ高いことで有名、しかも強風ですぐ止まる)。早晩、神戸空港が一大デートスポットになる日は近い。しかし、それは、神戸空港を「利用」したことには決してならない。そういうための入れ物を作ったのだとすれば、神戸市は、まさに無駄使いをしたとしかいいようがない。
 ジャンボ就航が今現在白紙化している現状では、早期黒字化は夢のまた夢。空港建設のつけは、最終的には、市民と国民の税金ということになるだろう。ここまでして、埋め立て/入れ物に固執する神戸市。土建業界と持ちつ持たれつの体質が変わるのは、いつのことなのだろうか? 
 
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