第5回  メガヒット必至か?「北斗」新映画版
  HPを立ち上げる際、私はあるジャンルについて、掲載すべきかどうか逡巡していた。そして、権利問題などに巻き込まれることを恐れて、ほとんど取り扱わなくなった。そのジャンルとはアニメーションである。まさにアニメバブルといわれた80年代後半の旬な時期にその大多数のアニメーションに出会えたことは、大変ラッキーだと思う。

 そして、その中でも一等異彩を放つのは、「北斗の拳」である。原作終了から20年近くが経とうというのに、そのブームは衰えることを知らない。そのことを如実にあらわしたのが、パチスロ機となった「北斗の拳」である。ホールデビューからさすがに時間は経ち、古さは否めないものの、いまだにホールの一角を占めている。最盛期には、納品待ちの店舗が続出、最終的に60万台(1機種としてはパチスロ史上最高売り上げ)もがホールで稼動していた。ヒットしたのには、出玉システムもさることながら、原作を髣髴とさせるストーリー性、そしてすべての人物のキャラが立っているという、特殊な原作であればこそ、ここまでヒットしたのである。

 その「北斗の拳」が、大幅リニューアルされて、スクリーンに帰ってくる。この文を書いている3/11が初日なのだが、すでに大量の前売り券が出回っているという情報が入ってきている。かなりの確率でヒットしそうである。
 それというのも、今回の「北斗」は5部作として描かれているからである。このうちの3タイトルがスクリーンに登場し、2作はOVA化される。その魁となる今作は、主人公にラオウを据え(サブタイトルもラオウ伝となっている)、どちらかというと、ケンシロウばかりにスポットが当たっていた、原作の歪みを正す意味合いが含まれているからである。その証拠に、「殉愛の章」というタイトルも打たれている。愛が根底に流れている、というコンセプト。バイオレンスばかりに注視していた元の原作とは一線を画しているのがうかがい知れる。その上、映画の紹介番組に登場した武論尊氏がこんなことをのたまったのである。
   「この映画を見て、泣いてください。泣いてくれたら、私たちの勝ち、泣けなかったら私たちの負け」
 ただ、「できのいい映画」を見に行くつもりだった、私を挑発するような物言い。しかし、それは、自信に裏打ちされた発言とも受け止められたからである。

 アニメ映画からはトンとご無沙汰であり(千と千尋以来かな?最近の宮崎作品はほとんどパスしてます)、しばらくスクリーンから遠ざかっていただけに、久しぶりの「仕事」の発生にわくわくせずにはいられない。ナルニアやイーオンフラックスなど強敵も多いが、一子相伝の北斗神拳のこと。まさに「指先ひとつでダウン」してくれることを願わずにはいられない。ちなみに、阿部寛のケンシロウより、宇梶のラオウがちょっとどうかな、と思える程度で、ミスキャストは少なそうな様相だ。詳報をこのコーナー、ならびに「ちょっといい話」でも取り上げていく予定である。
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