第11回 酒は飲んでも飲まれるな
先日、店勤務の際、酔っ払いに絡まれた。
ことの仔細はともかくである。こいつの言っていることが支離滅裂である。素面で聴いている他の人々(もちろん私も)があきれ返るほどである。
実はこの泥酔野郎には、連れがいたのだが、激高し暴走する阿呆を止められないでやりたい放題にさせてしまった。
そうなると私とこの異臭漂う齢50手前の、家庭持ちであろう、思考能力の停止した(というより脳髄反射しか出来ない)おっさんと対峙しなくてはならない。
むかつくこともあり、いろいろあったが、とりあえずはその場を何とか収めることにはなった。そしてやや早引けすることにした。帰る道すがら、私の記憶の中で思い返したのだが、自分が飲んで、他人に危害を加えようとしたり、大暴れしたという事象がまったくないのである。まあ、これが普通の人の感覚だろう。
確かに管を巻いたことは何度かあるし、その内容はたいていが記憶の中にある。つまり、ただ単に口からでまかせ、勢いだけで言っていることはかなり少ないはずである。もちろん、揉め事を自ら進んで作り出すことなど、基本的には考えられない。
しかし、泥酔状態になって、金勘定も出来ないこの親父が、そもそもどうしてスイッチが入ったのかがまったくわからない。これだから酔っ払いは嫌いである。
福岡の悲惨な事故以来、飲酒運転の危険性が改めて浮き彫りになっている。しかし、飲んで凶暴に変身する人に飲ませない法律は残念ながらない。まあ、酒で身を滅ぼすことになるであろう、このおっさんの末路など知ったことではないが、関わった人間が嫌な思いをするような飲み方だけは決してするまいと心に誓うのである。「酒は飲んでも飲まれるな」、いやはや名言です。
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