第 2回  お菓子メーカーの「甘い」体質
 老舗の洋菓子メーカー・不二家の醜聞は聞いていてあきれるばかりである。
 賞味期限切れの材料を使っていたことがリークされてもなお、同様のことが性懲りもなく行われていたり、床に落ちても、3秒以内ならOKという、ちょっと考えられない「法則」を適用して商品を出荷していたり、食中毒事故を起こしていながら内々で済ませようとしたり・・・。これほど、むちゃくちゃなメーカーだったのか、とあきれるばかりである。

 しかし、よくよく考えてみると、当初期限切れの材料を使って作った商品が出荷されたのは去年の11月。そして発覚したのが今年に入ってから。もちろん上層部はその実態を知っていたのは間違いない。ということは、あの、クリスマスケーキ商戦のときに公表していなかったことになるわけである。ここまで、自社の売り上げ保身に走っていたとは、驚きであると同時に、そこまでして、ケーキを売りたかった執念というものを感じずにはいられない。

 次から次に出てくる違法行為。しかし、その大半は、従業員のリーク、つまり「告げ口」である。言いたくて仕方なかった人たちが、それこそ、「こんな会社つぶれてもかまわない」という怨念にでも取り付かれたかのように、ワイドショーにねたを売り込んでくる。格好の餌食にされた不二家に、それこそテレビというありがたかって、跡形もなく平らげてしまうかのように、バッシングが続く。同族企業の危うさをここでもまた垣間見た気がする。

 さて、不二家の再生はあるのだろうか?私は残念ながら、難しいと見ている。特定のブランドは、残るかもしれない(ミルキーや、パラソルチョコレート/lookといった、固定客のあるもの)が、一部上場企業としては十分に失格である。企業として「最悪の結末」が年内に訪れないとも限らない。それにも増して、FC店として、不二家のケーキを売り続けてきた幾多の商店主が路頭に迷うことが十分に予想されるだけに、不二家の今後には目が離せない。
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