第 1回  30年ぶりの復活が…。
 最近、J−popでは、カバーアルバム等が大人気である。徳永英明氏の「Vocalist」はすでに3タイトルが上梓、もともとヒットした曲をカバーしていることもあって「彼が歌うとどうなるのだろう」という層の掘り起こしに成功し、三作目となる直近発売のアルバムはミリオンを達成したとも言われている。
 それだけではない。「ガガガDX」(神戸・長田出身のガガガSPと盟友・セックスマシーンの森田剛史とメガマサヒデの作ったユニットらしい)が、日産のセレナのCMソングで歌っているのは、なんと、「まんが日本昔ばなし」のエンディングを長らくしていた「にんげんっていいな」。アレンジは明らかにロック調になっているが、原曲の雰囲気は残しつつのリファインとも言えるカバーである。

 アニメーションでもリメイクや再々製作などがよく話題になる。もっとも好例が「ゲゲゲの鬼太郎」である。私の知る限り、オリジナル/2作目(熊倉一雄氏)、3作目(吉幾三氏)、4作目(憂歌団)、5作目(泉谷しげる氏)と、歌い手は変わっているものの、すべて同じ楽曲を歌っている(時代に即した編曲はしているが)。そのすべてが、作品のイメージというものを抱かせるに十分な歌唱力で持って臨んでいる。「彼らが歌ったから雰囲気が壊れた」ということはほとんど聞こえてこない。
 しかし、30年ぶりの復活を遂げた「ヤッターマン」のオープニングは、まさに「このアニメって、こんなに重苦しい感じだったっけ?」を想起させるほどのドラスティックな改変をやってのけた。そして、この曲で、今ネット界は騒然となっているというのである。→ニュースソースはこちら。作曲者でもあり、一作目で歌唱もしていた山本正之氏は、この失態をかなり嘆いているようである。
 ちなみに今回歌っている「音屋吉右衛門」というのはユニット名で、なんと、世良正則氏と「よっちゃん」こと野村義男氏のコラボなのである。ギターメインの編曲は、やはりちょっと聞くに堪えない。そもそも、子供向けのアニメーションという見方があるなら、もう少し若い歌手を使うのが常道のはず。いくら「30年ぶり」とはいっても「約30年前に頂点を極めた二人」を持ってこなくてもいいと思うのだが。(余談だがツイストは77年結成。デビュー曲はすごく売れた。よっちゃんは77年にスカウトされてジャニーズ入り。79年に金八先生出演で大ブレイク)
 アニメーションのオープニング曲がこれほどまでに物議をかもしたことは近年では例がない。それくらい、視聴者、特に「リメイクを楽しみにしていた」30代後半の層はその余りの変わりぶりに愕然としたに違いない。そして、作曲者でもある山本氏は、「私が迂闊だった」と自責の念に駆られているのだという。
 楽曲もさることながら、アニメーションそのものも、なんか一味足りないつくりでがっかりである。このまま初回視聴率である10.5%を上回ることがないと、少々てこ入れが入ると思われる。その中に、オープニング曲の再改変、本人登場のウルトラCが聞かれる可能性もないとは言い切れない。
 果たして、「勝利のポーズ」を決められるのか?今後のこのアニメーションにも注目である。
 
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