第 3回 機械を動かす人間の資質
2月に起こった、イージス艦「あたご」と漁船「清徳丸」との衝突事故は、いまだ原因が特定されないまま、事故発生から1ヶ月近くが立とうとしている。
実は、ここだけの話し、他人事のようには思えないいきさつがある。追突され沈んだ漁船の名前と読みこそ異なるものの、私の名前と同一なのである。初めてニュースで見知ったとき目を疑ったものである。「私が沈んだ」訳ではないにしても、毎日のようにニュース画面に出てくる漁船の名前を見ては、自分のことのように思ってしまうのである。
閑話休題。今回のそもそもの事故の原因は、見張りの交代時期という、もっとも危険な時間帯であるにもかかわらず、自動操舵という安心しきった空気が館内に充満していた矢先に起こった、と見るのが正しいようである。先般、明石海峡で起こった3重衝突事故でも、原因船は自動操舵だった模様である。いかに、自動操舵が危険であるかを、この2つの事故は物語っている。
近海の、それも小型の漁船がうろうろしている海域で、大名行列よろしく、そこのけそこのけでイージス艦が航行している。海の安全はわれわれが守るとばかりの勘違い振りが、甘えと緩みを生んだといわれても仕方ない。そもそも、イージス艦は、最新鋭の護衛艦(駆逐艦ですが、ほかの外国では)である。護衛艦にかかわらず、車にしても、人間がちょっとしたミスを犯すことで凶器に変貌してしまうのである。
どうして、この事故が起こったか?「漁船側にも、ライフジャケットを着るなど防御策を講じていなかった」とする意見も聞かれるが、最終的には回避義務もあり、大型船であるイージス艦に非があると見るべきだ。防衛省は、本当のことを公開して、二度とこのようなことの起こらないよう策を講じるべきである。
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