第 4回 良くも悪くも中国
このコーナーでも、中国ねたは結構書いてきているつもりだ。教科書検定/常任理事国入り表明時の抗議行動の際には、「我慢指数の低い人たち」の血に上った行動だと述べ、先のワールドカップ時のブーイング騒動のときも、政治や過去とスポーツを分けて考えられないのはきわめて異常だとした。
そして2008年。遂に運命のときが訪れようとしている。8月8日の開幕まであと数ヶ月に迫ったオリンピックである。
その魁として、イベント化した趣のある聖火リレーは全世界でトラブルを撒き散らしている。もっとも、その根底にあるのは、チベット問題であることは間違いない。もちろん、聖火を消そう、リレーを妨害しようとしたのは、チベットよりの人物であり、人権活動家たちである。
「聖火リレーの成功」にばかり気をとられる各国は、距離の短縮/閉鎖区域での受け渡しという、珍妙な策に出るばかり。極めつけはインド。リレーに出る人たちは減らさず、距離を激減させてしまったために一人が聖火を持って走れるのはわずか30m余り。20秒と持っていられないのだ。もちろん沿道は厳戒態勢。妨害やアピールしようとする面々もいない代わりに応援者もいない。警備の警察官しかいない中のリレーとなった。
今まで、聖火リレーがここまで顕著化したことは無かったはずである。チベットに対する人権問題を今まで世界世論が無視(軽視)してきたことがそもそもの始まりであり、そういった国がオリンピックに名乗りを上げ、開催国になってしまったことに関して、IOCはよくよく考えないといけないと思う。誰の目から見ても、チベット側に非はなく、今回の暴動まがいのことにしても突如起こったものとは考えられないからである。
その一方、居丈高さ加減は相変わらず。日中外相会談で高村外相のチベット問題解決を促す発言には「内政干渉だ」と言い放つ始末。そう。自国のことを言われると逆切れする癖に、日本の首相が靖国神社に訪問するだけで烈火のごとく怒るのだ。こんな、ダブルスタンダードを地で行く国と、まともにいろいろな問題を話せるのか、疑問は残る。
中国の人々全員が、堅物ばかりとは考えていない。しかし「血は争えない」ことも事実である。中華思想が世界を支配すると本気で考えている人も少なからずいるはずである。オリンピック開催を契機に国際社会と向き合う新・中国を作らないととんでもないことになりかねない。そして、オリンピックが成功するかどうか…。やはり「不安」ばかりが盛り上がる。
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