第11回 日本の没落は止められないのか?
6月8日に起こった秋葉原での通り魔事件はまだ記憶に新しいところである。被疑者は、まさに「死に神」にでも取り付かれたかのような一介の派遣社員。彼のような風貌の男がこのような凶悪事件を起こすなど、だれが考え付こうか?
それにもまして、ここ最近若年層がとんでもない事件を引き起こす事例が後を絶たない。長崎での男児突き落とし事件はまだ中学生だった少年が起こしたものだし、コンビニでの篭脱けをやって店員を殺したのも未成年の人間だった。秋葉原の事件を起こしたのは25歳の青年だが、この世代が突発的に引き起こす事件の多さに驚く。
そしてもうひとつの側面…「恥」の欠落である。こんなことすると恥ずかしい、といった感覚がなくなりつつある。電車車内で化粧を直すのはもはや当たり前。携帯電話での会話はもとより、扉付近でしゃがみこむなんかも平気で起こっている。へそだしルックもファッションといえば聞こえはいいが、ローライズジーンズといい、出すべきでないところが出るようになってきている。ことほど左様に、昔から築きあげてきた秩序や安全というものが若年層から壊れてきているように感じる。
もうひとつのデータがある。自殺者の増加である。高年齢の人たちが前途をはかなんで自殺するというのは分からないでもないのだが、30代40代という働き盛りの自殺者が急増しているというのだ。年間3万人台を記録していることもやはり多いといわざるを得ない。
そして昨今の景気の停滞感と、原油高による物価の上昇。デフレではなく、スタグフレーション(物価の上昇と不況という最悪の状態)に陥る可能性が出てきた。経済面でも日本に危険信号がともっているのである。しかし、無策を身上とする現福田内閣は、どこに関しても有効な決定打を打てないでいる。まるで他人事のように振舞うばかりである。経済に関して、これほど政治力を発揮しない総理も珍しい。
要するに、日本崩壊の序曲は、着々と進行しているといわざるを得ず、もはやとめられないところまで来ていると見ていい。荒廃に打ちひしがれるまでひどくはならないまでも、私がリタイアしている頃には、確実に私自身の居場所は無いような恐れさえ感じる。
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