第13回  日本野球に未来はあるのか?
 
 「最後」の金メダル取りを公言してはばからなかった星野監督率いる野球の日本代表。しかし、結果は「4位」という、メダルにすら届かない結末を迎えてしまった。
 「4位」とは言うけれど、その内容は惨憺たるものだった。今回メダルを取った3カ国(韓国/キューバ/アメリカ)には一勝もしていないのである。しかも、準決勝/3位決定戦の2試合ともリードを守れず逆転負け。負け方があまりにもふがいないのである。

 私は今回の結果は、代表チームそのものの士気の低さやトータル的な戦力の無さが要因と考えている。星野監督一人が背負えばいいという問題ではない。もちろん、代表選手を選んだのも起用したのも星野氏である。その意味では責任がないとは言い切れない。また、大リーグ選手を登用できないという、WBCのときとは勝手の違う、「真のドリームチーム」とはいえない部分があることもマイナスに働いたと見ている。

 しかし、ペナントレースをとめ、なおかつ多大な「お土産」が用意されていた韓国チームは結局無敗でこの最後の金メダルに花を添えた。しかもアメリカチームは3Aあたりの、日本で言えば「2軍」クラスの選手たちに日本チームは翻弄されたことになる。「お家芸」ともいえ、メダルは確実視されていた野球でこの失態。ただ単に「メダル取れませんでした」ですまない部分があることは必至だ。その第一が、「日本からの戦力の流出」である。もし松井が、イチローが、松坂が・・・。と思っていた人は少なくないだろう。WBCと違い、ペナントレース期間中のオリンピックだけにアメリカ/日本はこちらを重視した選手構成にならざるを得なかった。しかし、「国を挙げて」という意思表示の見られた韓国はまさにドリームチームで臨んだ。だからこその結果といえる。第2には、そのペナントレースでの激闘が選手にマイナスに働いた可能性がある。本調子でなくなってしまっていたのである。守りのミスが、恐ろしく多発したことも特筆すべきである。箍が緩んでいたというよりは、緊張しすぎて本来の力を発揮することが出来なかったか?
 
 まあ、この布陣でメダルが取れるほど、国際試合は甘くないことをようやく星野氏は知ったことになる。2004年・アテネの借りを2006年のWBCで返した日本。2年後開かれるかもしれないWBCでディフェンディングチャンピオンの意地を見せられるか、注目である。
 
 
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