第20回  企業なんてものは・・・
 
 派遣社員の契約解除、期間工の中途満了、内定取り消し・・・。昨今の金融危機に端を発した不景気風を何とか耐え忍ぼうと、企業側は人員整理に躍起である。中でも顕著なのは「世界のソニー」。全世界で16000人を削減。製造拠点も含めて国内では数千人規模の社員や契約・派遣社員が路頭に迷うことになる。

 とはいえソニーの場合はちょっと違うのである。昨年度決算に当たる08年3月期には史上最高益を出しているのである(経常利益が約4700億円。当期利益も3700億円で最高)。それがわずか1年でこの有様。当期利益はどこへ行ったの?と首を傾げたくなるような豹変振りである。日本が誇る世界のトヨタでもほぼ同様のことが行われている。こちらは不況の波をもろにかぶりやすい自動車だけに、アメリカ頼みだった売上が取れないとなると人員削減も分からないでもない。

 しかし、である。こういった企業の利益を生んできたのは、安い賃金でも文句を言わずに勤めてきた社員であり、明日をも知れないとわかっていながら身を粉にして働いてきた契約・派遣社員の尽力があったからに他ならない。つまり、いいように労働者は遣われていることにいい加減気づくべきである。
 ここ最近、企業側の理不尽な発言や要求が鼻持ちならなくなっている。以前にも当欄で話題にした「移民を組み込む」とんでもない発想しかり、麻生総理に噛み付くお歴々しかり。そして、要らなくなったら、それこそごみ同然に従業員を切り捨てることになんら後ろめたさを感じない。こんな企業ばかりが日本国中にうじゃうじゃあるのかと思うと暗澹たる思いになってしまう。
 まあ、よくよく考えたら、こういった光景、資本主義の先輩格アメリカでは日常茶飯事の出来事だった。日本がある意味、アメリカ並みに資本主義が成熟化していることの表れともいえるがこんなところまでアメリカナイズされる必要はない。首切り以外にもっとやるべきことが企業サイドにはいっぱいあると思うのだが。
 コーナートップへ