第　７回　　政治家という人種が分からない
　
　突然の民主・小沢代表の辞任会見。青天の霹靂、ひょうたんから駒…。びっくりしなかった人はいなかっただろう。
　秘書が政治資金規正法違反で逮捕されたときも、そして起訴にまで至ってもなお「辞めるつもりはありません」と強弁し続けた小沢氏。しかし、世論の辞任圧力は依然として収まらず、党内もギクシャクしている状態。選挙が迫っている中で、彼の言い分である「挙党一致のための」身の引き方だと、ここでも「突然の引退劇」を何とか自分のせいではないように言いくるめようとしてしまっていた。

　当の本人は、今の民主党の状態が「何を原因にして起こっているか」ということを理解している様子が見られない。いや、心の中では「自分のせいだ」と思っているのは間違いない。それでも「党内の結束を図る為に辞める」ときれいごとで辞任理由を発表しなくてはならないところに、彼の苦悩がある。しかし、よくよく考えてみると、ここ最近の首領の辞任理由は摩訶不思議なものが多い。安倍首相は、実質的には体調不良だったわけだが表向きは党首会談が実現できず、公約実現が難しくなったからとされており、前任・福田首相にしてもねじれ国会で運営がまともにできず、最後に小沢氏にけられたのが致命傷だった。ところが今回は今まで自民党の党首を葬り続けてきた小沢氏が辞めるのである。それも党首討論２日前の辞任会見。なぜこのタイミングなのか、はやはり当の本人しか分からないことだと思う。それとも「痛くない腹を探られたくない」と思って辞めたか？とにかく疑問は尽きない。

　前回、「小沢氏辞任」が取りざたされたのは２００７年の１１月。このときは、当時の福田内閣との大連立を模索したことが明るみに出て党内の不協和音が一気に噴出。一旦やめるといっておきながら前言を撤回した前歴がある。今回は、さすがに戻ってくる可能性はかなり低いだろうが、小沢氏の退場で俄然自民党はやる気になっているはずである。自民が続けてやっても民主が政権とってもあんまり変わらないのであれば、今必死にがんばっている政府・自民党を応援したくなる一方で、票対策が見え見えの民主党がそっぽを向かれる可能性はかなり高いと見る。それにしても…。なぜこのタイミングだったのか？

　
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