第3回 これでも「お咎めなし」といえるのか?
小沢幹事長が「満を持して」検察の事情聴取に応じた。「遅きに失した」という意見もなくはないが、国会の会期中であるがゆえに、「つかまえれるものならつかまえてみろ」といわんばかりのタイミング。余り引っ張って心象を悪くするのも具合が悪いという面も作用したと思われる。
聴取後の記者会見は、衆目の見立てどおりの「やってません」「一切ない」「事実無根」「わかりません」のオンパレード。特にあきれたのは、政治資金収支報告書の記載内容の確認を全く行なっていないことである。
政治団体を会社にたとえるなら、社長は政治家本人と言うことになる。そして、政治資金収支報告書はいわば決算資料である。決算に目を通さない社長がいるということそのものがおかしい。であるならば、秘書が使い込んでいたり、テキトーな領収書でごまかしたりなど、何でもやりたい放題。不実記載であることもいけないが、監督責任のある議員本人が知らない報告書なんか、はっきり言って無効ではないのだろうか?
内情を「知らない」「秘書にまかせっきりにしていた」で説明が済んだ、と本人は思っているようである。勿論「犯罪や利権がらみの金はない」と言い切った。これにて一件落着。某首相の「多額の子供手当て」同様、修正申告で済む事案。あとは逮捕された人の名誉回復に心血を注ぐ。にっくき検察メ!これでもう俺様には手出しできないだろう…。そう思っているかもしれない。
しかし、4億もの金の動きを知らない、で済ませるとは、どれだけ浮世離れしているのだろう?まあ、「天下の汚沢」なので、4億なんか右から左かもしれない。ちょっと日付がずれたくらいは「ミス」で済ませるつもりなのだろう。とは言うものの、政治資金規正法第2条第2項にはこういう文言が記されている(完全抜粋)。
『政治団体は、その責任を自覚し、その政治資金の収受に当たつては、いやしくも国民の疑惑を招くことのないように、この法律に基づいて公明正大に行わなければならない。』
「いやしくも」である。しかし、今の小沢氏の状態は、この「いやしくも」の状態であることは疑う余地はない。少なくともまだ「公明正大」な解決に至っていない状況である。
今回の聴取、そしてそのあとの記者会見で疑問はますます深まった感はある。そこまで言うなら、どうして、「記載事実の訂正」を願い出ないのか、それをするより、検察と戦って、「今まで出した報告書を正とする」方が都合がいいのか。さらに言うなら、道義的責任を取らないで、幹事長の職に居座り続けるあつかましさ。こうでないと与党幹事長は務まらないのかもしれないが、こんな限りなく黒に近い人物が党のトップにいる党では、政権交代も良し悪しである。今日で、スパッと辞めていたほうが小沢氏自身の株もあがろうかと思ったのだが…。
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