第5回  お前が言うなばかりでは・・・
 
 2ちゃんねるには、いろいろなスレが建てられるが、「お前が言うな」スレというのも根強い人気を誇っている。昔発言していたことや行動と、今とが著しく乖離していたり、ある事象を批判していたのに、現在は、自分が同じ事象で批判されるようなことになってしまっている場合に建てられ、それが重要人物であればあるほど、祭り状態になる。
 そして、現政府/与党が居座り続ける限り、このスレ住人は、ねたに困らないで済むメシウマ状態が続けられるのである。

 例えば、別の国会議員の秘書に疑惑が生じたとき、時の鳩山由紀夫くんはなんと言っていたか?
    「もし鳩山由紀夫の秘書が同じことを行っていたとすれば、私はすぐに国民の皆さんに謝罪を申し上げて、離党ではありません、国会議員のバッジをはずします。正直言って、普通の考え方だと思っています」(2002年3月の街頭にて)

 ところが、自分が囲っていた元秘書が政治資金規正法に問われ、執行猶予が付いたとはいえ有罪判決に結審したあと、彼はいけしゃあしゃあとこうのたまったのである。

                 「昨年6月の解雇以来、一切連絡をとっていない。完全に独立した個人の話だ」

 秘書の弁を借りるなら、「鳩山氏個人の献金が少なかったので偽装した」、つまり、彼としては良かれと思ってしたことになっている(私個人から言わせてもらえば、彼は秘密を墓の中まで持っていく覚悟を決め、どこまでも自分が悪いということにして、恩を売るつもりなのかもしれない)。
 自分が雇っていた秘書に対して、こう言い放てる人間が、やれ友愛だ、日米は対等だ、と嘯いても、信用されるはずがない。もう自分の中では解決してしまっている、ましてややめているのだから関係ない、という姿勢と、ほかの国会議員に対する物言い・考え方がまったく違う。これぞまさしく、「お前がいうな」の典型的な例だ。

 ことほど左様に、鳩山首相には、「お前が言うな」的な発言が多すぎる。だから、野党時代の鳩山氏が、国会で与党を糾弾する動画が、現時点の自身を糾弾する動画に使われるのである(しかし、ブーメランとはよく言ったもので、ここまで的確に自身を追及できるのだから、宇宙人という彼自身の理論はあながち間違っていないかもしれない)
 前政権や自民党歴代政権を擁護するつもりはないが、ここまで「ルーピー」な首相ははっきり言っていない。いまさら、かれに責任ある(少なくとも、自分のいったことに対する道義的責任)行動が取れるとは誰も思っていないだろう。普天間/高速料金でぶれまくる政府に与党。こんな政権交代ならしなかったほうがましだ、と思っている国民は私だけではあるまい。



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