第8回  茶番劇の後
 
 6/2、午前に、政界に激震が走った。
 なんと、わずか8ヵ月半で、首相が辞意を表明、「道ずれ」よろしく、疑惑の渦中にある幹事長と、北海道選出の女性議員も一緒に辞めていただく、というある意味『ウルトラC』をやってのけたのである。最後の最後で、彼は指導力を発揮したとも言える。

 まあ、普通、首相が辞意表明するのは、官邸の記者会見場。この人にいたっては、党の両院議員総会での暴露という、とんでもない場所(はっきり言って、公的な場所ではないし、再度記者会見が行われるものと思っているが、この人のことだけに、もう説明は済んだことにするつもりかもしれない)での辞意表明。最後の最後まで、よく政治がわかっていないのかなぁ、とも思ってしまう。
 この期に及んでの辞任。普通に考えれば、「5月に約束した基地移転も結局県内にとどめる結果になり、連立パートナーをも失って、政権運営に行き詰った」と言うことが言いたかったはずなのだが、残念なことに、『今のタイミングで辞任しないと、さまざまなことが立ち行かなくなる/特に重要法案の通過が微妙になり、また、当然参議院選挙にも悪影響を及ぼす』と言うことが、完全に見えてしまっているのである。それは、ずばり、党の会議での辞意表明をして、少しでも早く次の代表を決めることをしないといけない・・・記者会見をやっている場合ではなくなったという、切迫したものがあったからに他ならない。つまり、いずれ辞めるにせよ、『ぎりぎりまで辞めたくなかった』という、浅はかな考えしか、思い浮かばないのだ。幹事長にも引いていただくというのも、ある意味、ポーズ。彼なくして参議院選挙は戦えない。役職を解くというだけであり、党内に居座るのならば影響力は残ったまま。「やめて表舞台に立たなくなる」というだけのことであり、クリーンさをイメージづける、茶番劇である。

 とにかく、この人のおかげで、日本は十分に引っ掻き回された。もう、名前を書くのもはばかられる。あえて書くなら「ルーピー」だ。みんな一緒に辞めて、新しい党を作るんだ、といわれても、自民党と同じ道筋で、解散もせず、首のすげ替えだけで延命しようとする。その手法を散々批判してきた党も、結局政権の座に着けば、国民に信を問うことはできなくなる。利権まみれだったとされる自民党の長期政権も悪い部分は多かったが、民主党とて、大同小異。むしろ、ばら撒きで国民にいい顔するばかりで後々のことを考えていないと言うことが、「国防の何たるかをまともに勉強していない」首相を擁することからしても押して知るべしである。
  
 ある意味「それ見たことか」と、常識ある人たちは思っていることだろう。50年近くも培ってきた政権の重みを知り、そして、政治主導という魔法で、自分たちだけでやって、やれるわけがない。そんなに国政は甘くないのである。そして、辞めた後に座る民主党の幹部は、やはり、経験不足な顔ぶればかりだ。ツートップの辞任という茶番の後に来るものは、更なる日本の国益の著しいまでの毀損と、国柄の崩壊でしかないように思う。

 
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