第9回 前総理が消えて…
6/8、菅新首相が認証式を終え、正式にその座についた。
しかし、6/2で辞意を表明し、天皇陛下の御前での引き継ぎ式のあるそのときまで総理であった鳩山氏は、とうとう「辞任会見」を開かないまま職を去った。
6/2のあの辞意表明会見は、確かに大勢マスコミも入っており、ライブ中継されていたとはいえ、民主党の両院議員総会の場という、「きわめて内輪」の会議での発言だった。当然「内容を伝えること」しかできず、記者の質問などは一切なし。勿論、それも含めて、国民にメッセージを伝えたいという「鳩山流」なのだろうが、一国の総理を勤め、その職を辞するときに、公式の記者会見を開かないで、そそくさと政治の表舞台から姿を消すというやり方に、「立つ鳩、後味悪し」に感じている人も大勢いることだろうと思う。
なぜ、辞任会見が開けないのか?理由はいくつか考えられる。第一には「引責辞任」の色合いが濃いからである。普天間での失敗、社民党の離脱、自身の政治資金規正法に関わる疑義・・・本当なら、もう2回でも3回でもやめないと収まらないほど、政権運営は行き詰っていた。「もう、いまさら、辞める理由聞いても仕方ないでしょ?」と、本人は言いたげなのかもしれない。第2には、ご自身もおっしゃっていたが、「国民が、徐徐に聞く耳を持たなくなってきた」ということである。やめて当然の私の言葉など、誰も聞く気がない、という勝手な思い込みである。そして第3には、「後任の首相に託すメッセージが何もない」ということである。記者会見で内心なり本心を吐露すれば、その内容がどうであれ、後任の首相はその言葉を厳に受け止め、自身の政権運営に生かそうとするはずである。また、それを国民に伝えようとすることで、道筋も見えてくる。それを拒否したということは、この人自体が、国の行く末をまったく理解していない、もしくは、それを悟られたくないということと同様である。
そう。こんな人に首相になっていいですよ、と国民は、託してしまったのである。勿論、良識ある方々は、この人の「無策ぶり」を見抜いていただろうし、当方も、散々このコーナーでたたいてきたつもりである。僕の中で、「この人、政治家失格だな」を確信したのは、沖縄にどうして海兵隊がいるのか、という地政学をまったく身につけていないということ.(認識が甘くてごめん、とはいっていたが、そのくらいのことを勉強する時間は野党時代に腐るほどあったはず)であり、すでにこのことだけを取ってみても、この人が国政に携わり続ければ、それだけ国益が損なわれるということを内外に露呈させてしまったのである。
野党時代とは正反対に、国民に信を問わずに「昔の与党」のようにだらだらと政権に安住しようとする民主党。できないことをできると約束してまでとった政権を国民にいったん返す、という選択をどうしてできなかったのか・・・。参議院選挙でどんな結果が出るか、楽しみである。
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