第18回 疑心暗鬼が呼ぶ結末
尖閣諸島海域で、中国漁船が、海上保安庁の巡視船に体当たり『攻撃』を仕掛けた事件は、一応、被疑者一歩手前の船長を釈放することで幕引きとなり、軽く発狂したかのような中国政府の対応も、やや下火になりつつあるように見受けられる。
・・・、と、17回目と同じ書き出しで始めさせてもらった。ところが、ご存知のように、中国本土では、どういうわけか内陸部の都市で暴動行為も起こした反日デモが繰り広げられ、ニュースになった。一方で、粛々と、示威行為だけにとどめた日本の、主権主張デモは、ほとんど映像でも、画像でも、マスコミからの発信はないに等しい状態だった。2800人近く(警察発表/実際はもう少し多い人が参加していたと思われる)が参加してもニュースにならない・・・暴徒化したほうがトップニュースになる・・・。この状況をマスコミが敢えて造っているという風にしか思えないのである。
そして、報道されない、と言う部分で言えば、公開されていない、尖閣沖での漁船の体当たりシーンのビデオ映像である。これを全世界に拡散するだけで、中国の主張していることは瓦解するはずである。しかし、どういうわけか、公開に踏み切ろうとはしない。某官房長官に一任したようだが、彼が、一存で公開する可能性など100%ないに等しい。
海上での小競り合いといえば、シーシェパードとの丁々発止が記憶に新しい。アディ・ギル号の船長が、意図的にエンジンを停止せず、吹かした状態で体当たりした映像があり、これが決定打となって訴追される結果となった。そう。彼の場合、エコテロリストとして日本の刑罰をきっちりと受けているのである。翻って、今回の尖閣の場合はどうか?今回、映像を撮っているのは海上保安庁である。事象が明らかになった時点で、事実を公表するという行為に出ても問題はない「はず」である。ところが、いつまでたっても公開に関する動きがない。
そこで考えられるのは、「公開によって、何らかの別の視点による世論の沸騰がありえるのではないか」と言う、衝突以外の事実がある可能性である。それが証拠に、ビデオを見た閣僚の中からは、「このビデオを見たら国民感情が高まってしまう」と言う趣旨の発言をしている人がいる(川上義博・参院予算委員会理事「ビデオを公開したら大変なことになる。日中関係改善は2、3年遅れる。温存した方がいい」)。たかだか船のぶつかり合いごときで反中感情が沸き起こるとは思えない。
そんな中、とうとうこの人がテレビで「仄聞(そくぶん/小耳に挟んだ、とか、聞いた話によると、と言う意味)だが」と前置きしてこんな発言をした。場所は10/24のフジテレビ。「新報道2001」番組内での石原都知事の発言である。
最近、当方も参照している、ブログに書き起こしがあるので、そちらをご参照いただきたい。→正しい歴史認識、国益重視の外交、核武装の実現 10/25エントリー分
さて、こんなことが、都知事の口から出てきてしまう、そして、出演していた与野党の重鎮が揃って肯定も否定もしない・・・。都知事の発言を追認したに等しい態度は、彼の言が大筋で間違っていないことを示している。事件発生から2ヶ月あまりたつが、機を逸してしまったビデオの公開は、中国側の行為より、日本側の「深謀遠慮もほどがある」と言う体制批判に姿を変えてしまうことだろう。中国のことなど無視して、一刻も早く公開しないと、こういう手合いの噂話やデマが横行することになりかねない。そして、それは、現政府の命取りになるであろうことをわかっているのだろうか?
補足:真偽のほどは定かではありませんが、こんなブログ記事(2ch掲示板スレの抜粋であるので、当方は眉唾と判断している)も出てきてしまっています。もしこのことが事実なら公務執行妨害程度では済まないはず。いずれにせよ、「公開しないから」こんな情報も錯綜することになってしまう...
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