第6回  ケンシロウの名言

 「北斗の拳」は、世紀末、核戦争後の荒廃した世界という設定で、強いものだけが生き残る無法地帯に、一子相伝の暗殺拳を伝承した主人公のケンシロウが、兄たちや、敵対する拳法家を向こうに回して活躍し、世の中を収めていくというストーリーのコミックである。2003年にパチスロ機にモチーフ移植されると、その液晶画面の粗さとは裏腹に大ヒットし、4号機後半の隆盛を作り出した立役者でもある。

 とこんなところでこのコミックの話題を出したのにはわけがある。大ヒットした名作と呼ばれる作品には、必ずといっていいほど名言が残されているからである。
 北斗の拳で言えば、あまりにも有名な、「お前はもう、死んでいる」や「てめえらの血は何色だぁ」など、それこそ枚挙に暇がない。
 そして、ケンシロウが、序盤でこんな名言を、例によって服を破りながらのたまっている。
                        「てめえらに今日を生きる資格はねぇ!!」

 もちろん、これは、悪辣非道なる夜盗集団に向けて発せられた言葉である。ちなみに、このせりふは、苦心して入手した種籾を守ろうとした老人が惨殺された直後のことである。もし今、ケンシロウが、日本に存在していたなら、今の政府要人に向かってこのせりふをはいていたかもしれない。そんな思いがふつふつとわいてきているのである。

 首相の現地視察の中止などはその際たるものである。中止の理由が「天候不良」によるものだということらしいのだが、すでに現地は、雨どころの騒ぎではない。雨が降ったからやめるなど、どう考えてもおかしい。多少の天候悪化でも、いくと決めたらいくのが普通であるし、それに対する準備もそれ相応にしているはずである。それをドタキャンするのだから、意気地がないのか、それともバッシングを受けるのを嫌ったのか。いずれにせよ、言ったことがたかだか雨ごときで実行されないということが白日の元にさらされたのだ。そして、経済通を自認する某閣僚などは、それこそこの言葉がぴったり来るような、暴言を原発事故に果敢に挑む消防隊員に向けたのだという。何を思って、そういうことが言えるのか?言うだけなら誰でもできるのであり、まして実行部隊を萎縮させ、傷つける行為や言動は、まさに万死に値するといっても差し支えない。まだある。罷免された閣僚の再入閣など、誰も許可していないことでも平気でやってのける。右派・左派という以前に政治家として、何でもありのやり方は必ず大きなしっぺ返しを食らうことをわかっていないのだろうか?

 「お前はもう、死んでいる」・・・ケンシロウに、経絡秘孔など突かれて、現内閣は断末魔の叫びでも挙げながら死滅すればいいのに、と思ってしまっている。

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