第9回  笑顔の行方

 しばらく震災関連のエントリーが小生も続いている。実際、何をするにしても、津波の実況映像がぽっと現れてきて、急激になえてしまうのである。
 先週末、二人の『偉人』が、被災地や避難場所を訪れた。一人は言うまでもなく『天皇陛下』であり、もう一人は『偉そうな人』菅首相である。

 陛下と首相の行動を見ると一目瞭然なことがうかがい知れる。まず、陛下は、皇后様を伴い、都内の避難所を訪問された。理由は『現地を訪れたいのだが、まだ混乱している状況なのでふさわしくないと考えられた』ということである。ご承知のとおり、先代・昭和天皇は、戦火にまみれた国土を数年にわたって行幸された。一刻も早く国民に会いたい、その思いが、当時若かった(終戦当時、44歳であらせられた)天皇を突き動かしたものと思われる。今の陛下にとっては、お心が同じでも、寄る年波と皇后随伴の負担は察して余りある。だから、心ならずも、被災地ではなく都内の避難所をご訪問されたのである。かけられるお言葉も、どの避難民に対しても気遣う言葉ばかり。そこからもれる、微笑はある意味神々しく映るときさえあった。
 一方の首相は、陸前高田市を訪問。なにやらいろいろとパフォーマンスをしてくれているようである。ちなみに、『この4/2の土曜日に被災地訪問』は、ほとんどのメディアが軽く述べるにとどまり、「行った」ことすらほとんど知らなかったのだが、ジョークを言ったり笑顔を振りまくなど、結構いろいろやったようである。
 →おなじみ、当方日々巡回ブログより、4/3エントリー分に詳細が載ってます。

 陛下が3月に訪問された直後の現地慰問。首相には「陛下より直接的な行動が取れるんですよ」という、天皇軽視の思想が見て取れる。そしてまさに「鬼の首でも取った」かのような笑顔の連発。ランドセルを見つけて何とか直人が送ったとか、ジョークをかます余裕もあったようである。確かに危機的状況にあって、笑いで場を和ますことも重要かもしれないが、そういう役割を首相が担っているとは到底思えない(ありーなジョークも同様/岡田)。まして頼んできたわけでもないのに、避難所の中を整理しろとか言う場面があったそうである(ブログ後半に女性の意見として述べられている)。こういうことを陛下は嫌って現地に赴かないだけのことなのである。
 気品の高い人の微笑と、何か下心があるかに見える「偉そうな人」の笑顔。二つの笑顔を比べるだけでも、今の日本を十二分に映しているといえる。我々が本当についていくべき人間はどちらなのか?図らずもこの数日の間に答えが出てしまったかのようである。


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