第12回 アニメが伝える恐怖
震災発生から1ヶ月がたった。やや遅きに失した感はあるが、某国政府は、復興何たら会議とやらを創設。会議だらけにして、その責任者をいくつも歴任して箔の付いた首相はさぞご満悦だろう。
復興と言う名前を冠することで、本来の被災者目線で考えるところの「見えない/見通せない未来より明日のご飯」が重要である、と言うことを遠まわしに避ける狙いが政府にあるのではないか、とかんぐってしまう。放射線の影響もあるだろうが、10年先、20年先を見通す施策は、日々が積み重なって醸成されるものである。今、直近の「今日」と言う日がまともに暮らせない人たちにとって、未来を思い描いて「やる」など、不見識/上から目線で鼻持ちならない。
それにしても、憎むべきは津波である。もし、ただの地震だけで済んでいたとしたら、これほど広範囲にわたって被害がでなかっただろうし、復興そのものもそれほど難しくなかったと思われる。実際、揺れがあったとはいえ、倒壊してしまったと言う家屋が発生直後の(津波に飲まれるまでの)映像では確認できていない。返す返すも、津波で被害が計り知れないものになってしまったのは間違いない。福島原発にしても、波をかぶっていなければ非常時のディーゼル発電機は作動できていたと思われ、ここまでの被害にならなかったのは間違いない。
それでも人知を大きく超える津波はやってきた。そして平和ボケ/電気飽和に酔いしれていた、日本と日本人に教訓を与えた。しかし、それは今に始まったことなのだろうか?
先人の教えが随所に生かされている場所では、人命の損傷は最小限に食い止められているし、家屋の流失もなかった。「てんでんこ」と言う避難の仕方が十分に伝わっているところではより高いところに避難を敢行して、難を逃れている例もある。逆に広域避難場所自体が津波に襲来されて多くの人命が奪われたと言う場所もいくつかある。
しかし、わたしが「津波」と聞いて想起したのは、津波を扱った「まんが日本昔ばなし」のある放送回である。そのタイトルが一向に思い出せず、登場人物たちの「津波だぁ」
「つ、津波だぁぁぁ」だけが脳裏に焼きつき、その悲劇的な内容と同時に、津波の恐ろしさを子供ながらに焼き付けたものだった(そもそもキャラクターデザインからしておどろおどろしいんです)。
そしてたまたまであるが、youtubeで、津波を扱った回があったのでUPしましたと言う奇特な方がおられて、画像を確認したところ、まさに!当方が探していた、あの衝撃的な津波のシーンがある当該放送回であることがわかったのだった。大人になって初めて見直した「昔ばなし」であるが、これと似た状況が、現代日本でも起こっていたのかと思うと、改めて恐怖を覚えずにはいられない。
このお話の中で発生した津波はどうやら、ほかの国で起こった地震でできた津波のようである(地震があったという解説はなかったため)。津波の本質をアニメと言う限られた演出手法で、しかし、恐怖心を掻き立てるようなお話に纏め上げられたスタッフの渾身の一作だったわけだが、わたしを含め、津波と言うものを甘く考えていた人たちを飲み込んでいった。幼少期に見た私の脳裏に焼きつくほどの作品なだけに、今後の地震/防災教育の際の教材にもなりえるのではないか、とさえ思う。
ちなみに、大の大人が見ても、衝撃的です。
参考 まんが日本昔ばなし 「みちびき地蔵」→http://www.youtube.com/watch?v=pCAbYlODSc0
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