第23回  孫して、得取れ

 携帯電話は、いまや日本の主要インフラのひとつにまで成長した。そして、この狭い日本の中に、3社がしのぎを削っている状態がいまだに続いている。最後発のソフトバンクは、無料通話の同一社内端末間の拡張や学生割引など、さまざまな作戦と、@Phoneの独占的販売によって、一時期の危機的状況を脱出して、そこそこに伸びている企業というイメージがある。

 今回の震災に当たり、創業者の孫氏は、私財100億を義捐金として拠出すると発表した。桁違いの寄付に世間も驚いた。
 しかし、実際に拠出が行われた、というより届け先の発表がなされたのが、出すと発表してから一ヶ月以上もたってから、しかも、週刊誌に『100億、まだぁ〜〜〜〜』的な記事が出るとわかってあわてて発表したようなタイミングであった。しかも、そのうちの40%は得体も知れない私設財団に向けておこなわれるものだった。

 →孫氏の当時の発表。  ソフトバンクの拠出先の詳細の発表。

 その後になって、無料にするといったことに相反して請求書が送られるなどの不手際などもあり、また、そもそも復旧率がほかの2社に比べて格段に遅かったこともとり沙汰されている。緊急地震速報の受発信もこの震災が起こってからようやく対応するなど、本当にインフラ企業としての自覚があるのか、疑わしい。→毎度おなじみの当方推奨ブログにも、ソフトバンクの実態が描かれている。詳しくはこちら

 そしてこのたびの、へんてこりんな会議の写真がこれである。電話屋/サッカー日本代表の元監督など、エネルギーとはどうにも結びつかない面々が集まっての『自然エネルギー普及に関する有識者会議』とやらが、もう後のない首相主催で開かれたのである。この中でエネルギー関連に一番関心のある・・・本当は商売っ気が一番あるのは孫氏である。ご存知のようにメガソーラー計画やら、なんやら、いろいろぶち上げている。
 しかし、よくよく考えてみれば、今回の原発事故がもし起こっていなかったとして、こんなことをいっていたのだろうか?答えはNOだ。常日頃から・・・震災以前から言っていたというのであれば説得力もあるのだが、脱原発に世間が動くだろうから、先に動いてやれ、発言してやれ、という魂胆が見え見えである。言葉は悪いが、金儲けに対する嗅覚は人並みはずれたものがあるのかもしれない。

 言ったことを先に行ってから行動に移すべきであり、それでなくても業務改善命令を幾度となく食らっている企業の社長が、こういったところに『有識者』面して登壇するなど、不見識にもほどがある。それとも、こういったところに顔出ししておいて、出すであろう100億の元でも取ろうと画策して政府に近づいているのではないか、とさえ思ってしまう。本業にいそしまないで脇筋ばかりが忙しい孫氏。しなくてはならない事は山ほどあるはずである。

 
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