第32回 「潔さ」

 8月21日。何の変哲もない、夏休み真っ只中の日曜日、「事件」は現場で起こっていた・・・とは本当に知らなかった。
 24時間テレビの終了後の「行列」生放送終了後に発覚した、島田紳助氏の「メール」問題。すでに一部の芸能週刊誌がかぎつけていた模様で、23日の記者会見前に「不祥事発覚で引退」ということをツイッター等に公表していた。

 さてどんな不祥事か。言われてみると、はっきり言って「はぁ? 」レベルの内容だった。暴力団関係者との親密な関係を匂わせるメールでの交信。この程度のことなら、当の本人がたまに恫喝する際に暴力団関係者の実名をあげたりするなどしているので、「ああ、ヤッパリ」という認識にしかならない。それでなくても、芸能界と暴力団とは、昭和の歌姫を巡る醜聞を例に出すまでもなく、そこかしこに現れては消えたものだった。ただ、動かぬ証拠を見せ付けられて紳助サイドも腹をくくったのだろう。反社会的集団との付き合いが明るみに出てしまった以上芸能活動が出来ないとする「英断」だ。

 個人的には、この英断、そして未練を感じさせない記者会見を見たときに、「この人はハードランディングだったけど、本当はセミリタイアしたかったんじゃないかな」と思わせる表情を見て、一種の潔さ、「漢(おとこ)」というものを見た。涙も後悔の念から出る悔し涙ではなく、自身を叱責し、他人に迷惑を掛けることに対する申し訳なさからでるものと受け取れた。一時期頂点に上り詰めながら、醜聞で身を引かざるをえなくなったとき、私も同じように振舞えるかといえばなかなかそうは行くまい。

 彼はわずか2日で自分の態度・進路を決め、決断できた。しかし「アレ」はどうだろうか?
 3月11日。運命のあの日、当時の外務大臣が辞任に追い込まれた、外国人からの献金を受け取ったことで追及されるはずだったアレ。今まで、そのことに対してのらりくらりと弁明を続け、「辞めて欲しくば」と法案を人質に取り、6月には「辞める」という意思表明をルーピーを使って丸め込ませてなかったことにしてしまう。結局外圧でもなんでもなく、また不祥事が発覚してから実に!5ヶ月以上も首相という座にとどまり続けたのである。
 もう総理でなくなる「アレ」だからどうでもいい、という話ではない。職を辞した外務大臣も首相になりたいと手を上げるというではないか。道義的責任を「大臣辞任」だけで済ませたと思っている前ナントカ氏にも、日本のトップにたつ資質があるとはとても言いがたい。

 芸能界にこれだけの自浄能力があるというのに、またそれは今をときめくトップMCであっても容赦ないことであるはずなのに、政界のピンボケ振りには恐ろしささえ感じる。まあ、潔い、と言うのであれば、地位に恋々とせず、スパッと身を引いているはずだろうから。


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