第7回  結局「民」はどうでもいいのか…
 
 2月末に行われた党首討論。僕としては、舌鋒きわまる自民党・谷垣総裁の口撃で、野田総理の「柳川鍋状態」が見られると思って多少は期待していた。
 ところが、どういうわけか、総裁の物言いは、政府側に擦り寄るような発言や内容ばかりで、がっかりすると同時にあきれ返ってしまった。
 しかも、この党首討論の直前に、敵味方が密会していたというのだ。「道理で・・・」と納得はしたものの、これで政治家が務まるのだから、いい商売である。

 野党として野に下り早3年。もうそこまで落ちぶれてしまったのか、と思わざるを得ない。ここまで国益を毀損し、要らぬ金をあちこちにばら撒き、まともな「真実」には一切言及しない。民主党が、政権与党足り得ないことは、おそらく震災があってもなくても、早晩明らかになっていたはずで、そんな、政党失格の党に擦り寄ろうとする、谷垣氏の心情というものを見てしまった気がする。むしろ、「もうお前ら、一緒になっちまえよ」と思ってしまったほどである。
 その党首討論では、どうしても税と社会保障の一体改革という、「税上げ」議論ばかりが取りざたされている。勿論、冒頭では震災対策の遅れを谷垣氏も指摘しているのだが、あまりニュース報道などでもこの部分が取り上げられることはない。
 それは、質問する側も答える側もそうなのだが、「どうなっているのか」という問い合わせに「こうなってます」という回答しかない、言ってみれば想定の範囲内のことだからかと思うのである。ただ、谷垣氏の挙げた数字は「本当か?」と耳を疑った。

 たとえば道路は3.8%、病院関連では5.2%しか予算が執行されていないのだという。1年でたったこれだけ(実質的には予算決まってからなので約半年か?)しか進んでいない。やはり、本当に復興する気がない/地方だしゆっくりでいいと思っていることの表れだ。
 勿論喫緊といえる、税上げ問題はこの討論を見る限りでは与野党コンセンサスが取れており、「国会内」では半ば同意を見た格好である。一部与党内のマニフェスト履行派のことなど、「野党を取り込めたほうがえらい」とばかりに邁進する野田氏にしてみればごみ同然なのだろう。
 
 もうすぐ東日本大震災から1年である。海が豹変し、とうとう第3の放射能被害地域を出してしまった今回の災害。何をさておいても、この復旧・復興が一義的であるはずの政治家たちが織り成す、コップの中の争いや野合。どこぞの党がキャッチフレーズにした「国民の生活が第一」は所詮お題目で、「自分たちの生活/権力が第一」なことは、与野党問わずわかってしまった。仮に今の与党が倒れて政権が変わったとして、果たして生活は元に戻っていくのだろうか?不安を禁じえない。

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