第12回  事実は小説よりも奇なり
 
 東日本大震災で、まるで「すべての悪」を引き受けてしまったかのようになっている、福島第一原子力発電所。確かに水素爆発もしたし、それ相応の放射線物質をばら撒いてしまったことは間違いなく、その原因が、結果的には「人災」とされる部分もうっすらながら明らかにされつつある。
 勿論、ここで言う人災は、まともな地震・津波対策を取らなかった東電であり、「視察に行く」といって勢い込んで乗り込んだ、先代のバ菅その人に起因するものでもある。しかし、事象が落ち着きを取り戻しても、いまだに大半の付近住民の帰宅はなされていない(一部は帰還したようにも報道されているが、その量はあまりにも少ない)。

 そしていよいよ、日本の国から、稼動している原子力発電所が姿を消す日がやってくる。そしてその状態で今年の夏を迎えようとしているのである。去年もそうだったが、クーラーなどを適正使用しなかったことで熱中症に室内にいながらかかってしまった人も少なからずいるはずであり、電力逼迫が結果的に健康な、また、被災地とは何の関係もない人々にまで影響を及ぼし始めている。去年はむしろ「緊急事態」だったわけであり、そういう体制はできていたからそれほど問題にもならなかったのだが、さて、今年はどうであろうか?むしろ、電力不足のような事態を避けるべく、減・原発でいくにせよ、滅・原発はあまりにも結論として性急過ぎる。そもそも、今回の事故が起こるまで、ほとんどの反原発学者などは声高に言ってこなかった(原発依存度の高い関西ではなおさら)。潮流に乗れといわんばかりの物言いには、説得力をまったく感じない。

 それほどまでに「放射能コワイ/事故コワイ」を演出している彼らにマスコミ。しかし、考えてみれば、事故のいい先輩がいるではないか…そう、チェルノブイリである。
 確かこの事故と同じ「レベル7」にしたはずであり、そういうのであれば、それこそかなりの死傷者が出ていても不思議はない。ところが、現地でも、放射線による直接的な事象といえば、汚染されたミルクを大量に摂取した当時の子供に見られる甲状腺ガン位で、ほかの大人たちにとてつもない健康被害が出たという報告はなされていない。死者も直後に防御作業をし、かなりの急性被曝をした134人のうち28人。そのあと20人あまりが死亡しているが、放射線との因果関係を疑わせないような死因もあると言うことである。
 日本の場合、原発周りでは過労が原因でなくなった作業員がいるにはいたが、「放射線が原因で」死亡したり、健康被害を受けたとされる人は皆無(今後出てくるかもしれないが、管理が厳しく、国の基準にのっとれば大丈夫なはずなのだから、でてくるはずがそもそもない)。また、住民についても、今必死に当該地区を除染しているが、それさえ終われば、大気中で浴びる放射線量は下手をすると風上にある地区では普通と変わらない程度の数値になっているはずであり、まず一安心なはずである。

 もし、「放射線/放射能=悪」という決め付けをするのであれば、レントゲン写真・CTスキャン・ガンの放射線治療などもすべて拒否するべきものである。「原発の放射線が悪くて、医療の放射線は善」という奇妙な位置づけは、特に一部の左思想の人々が持ち出す「西側の核は悪で東側の核は善」という論理とまったく一緒なのである。いいも悪いもあるはずがない。ましてや、その原子力発電のおかげで経済発展を成し遂げてきたという側面もある。
 現実に事故は起こったのは間違いないが、その影響は「意外に小さい」のではないか、と思われる節が次々に明らかになっている。机上の空論で、ありもしない「被害」をことさらにわめきたて、原発=悪の方程式を完成させないときがすまない一部勢力が何を目標にしているかを探るとき、日本が本当の危機に瀕していると思わざるを得ない。

 →今日のエントリーは、「yohkanさんのブログ」に掲載されていた動画を元に、書かせて頂きました。元動画はこちら→Jaif Tv特別編「福島とチェルノブイリ〜虚構と現実」より

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