第13回  特別顧問の真意を探る
 
 関西電力は、クリーンエネルギーとしての原子力発電を、日本の電力会社の中でも一番推進してきた電力会社である。それゆえに、東日本大震災以後、原発の脆弱性がいわれる中で、「再稼動できなければどうなるか」と言うところにまで考えが及んでいなかった、と言う点は大いに理解できる。
 又、仮に再稼動できたとしても、十分な電力供給には程遠く、結果的に、不自由な節電生活をしばらくの間余儀なくされるのは目に見えている。「急ぎ再稼動」と言うのが、関西圏で普通に生活している人たちにとっては大方の意見だと思う。

 ところが、電力供給が、それこそ「個人の恣意的行為」によって左右されかねないと言う趣旨の発言をしたものがいる。古賀何とかという、大阪府市統合本部の特別顧問をしている「元お役人」である。
 テレビ番組(それもテレビ朝日の朝の番組・・・)に出演した際に「関電が火力発電所でわざと事故を起こすなどして、大幅な電力不足というパニックを起こすことにより、原発を再稼働させるしかないという、いわば『停電テロ』のような状態に持っていこうとしている」と言うような内容のことを言ってしまったというのである。
 「プランC」だとぬけぬけとまるで「計画がある」かのようにのたまっていたが、当の関電からはあっさり否定された。公的企業が、電力を「物質(ものじち)」にして、原発を再稼動させようとしている・・・。特別顧問の頭の中の「プランC」とやらがもし本当におこったとしたら、当方は彼に対する非礼を謝りたい。

 それにしても、テレビの画面上のみならず、どこの会議に出てきても、「再稼動許すまじ」と執念を燃やすこの御仁の真意が知りたい。
 そもそも、彼にとっては、原発にかなり依存している関西圏の人のことなど、念頭に置かれていないように感じる。なんとなれば、「足りなければ周りから融通してもらえ/それなりのことはほかの電力会社に頭を下げに廻ってお願いしているのが当然」と言っているところがあった。日本が全国一律の料金体系で電力があちこちに融通されているのならわからないでもないが、いただく側にも節電が呼びかけられている。その余った電力が関西で使われる。理不尽に感じる人は少なくないだろう。
 彼のやりたいことが本当に「反原発」「滅原発」であるのであれば、原子力発電亡き後(=すべての原発を廃炉にする)のビジョンとやらを聞きたいものである。廃炉にかかる費用は?新設の火力をどこに立てる?『オール電化住宅』なんて電気の無駄遣いだから即刻辞めるべき、などなど・・・。関電が『再稼動ありき』で話を進めているのだとしたら、この人は『再稼動はどんなに条件が揃っていてもさせない』と言い張っているのだから、話がすりあうはずもない。又、所詮『再稼動できない後のことはお前らで考えろ』としか言わない。それで特別顧問とやらが勤まるのだから、いいご身分である。

 橋下市長はこの過激な、そして根拠もない『テロリスト』呼ばわりを擁護したと言う。さすが、弁護士。今の潮流に乗っかっているほうに擦り寄るの『だけ』は得意である。ただ、これで市長も『古賀一派』であることが明らかになった。中小企業に節電と、電気料金の値上げを無理強いすることになるであろうことを理解しないで、彼のいうことだからと妄信する。発言の趣旨としては理解できるが言葉が過ぎる、くらいの反応のほうが、立ち位置をぼやかせる効果もあっただろうに、と思うと、大阪をはじめ近畿圏の人々に不自由を強いているのがこの特別顧問の強硬な態度と、それを黙認・追認した市長のせいだ、と言うことになるのは、早晩明らかになるだろう。『維新』もこうなってくると、果たして誰のほうを向いたものなのか、疑わしくなってくる。

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